Olifantこれは原作というよりも原案では…

タイトルだけを見ると前の記事と同じことをまた書いて、私のボケもついにここまで進んでしまったのかと思われるかもしれませんが、そうではありません。今週水曜日に公開された映画「ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子のつのぶえ」を公開初日に観てきたということは前回書きましたが、その日会社から帰宅すると長男が「借りてきた!」と言って見せてくれたのがこの映画の原作である「ナルニア国ものがたり カスピアン王子のつのぶえ」でした。あとで聞くと私が映画を観てきた映画がこの作品であったということは知らなかったようなのですが、テレビCMや番組内で盛んに紹介されていたことから原作に興味を持って学校の図書室で借りてきたということのようです。

カスピアン王子のつのぶえ (ナルニア国物語)
イラスト:ポーリン・ベインズ
岩波書店 (2005/07/09)
ISBN/ASIN:4001163721

私はこの2作目にあたる「カスピアン王子のつのぶえ」の前に1作目の「ライオンと魔女」を読んでおきたいところだったのですが、長男は先に私の実家にあったものを読んでしまっていたので仕方ありません。シリーズ作品とはいってもそれぞれ独立した物語にもなっているということなので、あまり気にせずに私も読んでみることにしました。

元々童話として書かれたものであるということで、私の子供もなかなかのペースで読み進んでいるようですが、私も300ページ弱のこの作品を1日で読み切りました。しかし、童話とはいってもしっかりと組み立てられた物語になっているので大人にとっても読み応えがあり、さすが三大ファンタジーの一角をなすだけのことはあります。指輪物語などでも知られる瀬田貞二氏独特の翻訳ですが、さすがに40年以上前に翻訳されたものだけあって文体や言い回しが少々古く、その点は読みづらく感じるというのは否定できません。

最後まで読んでみて感じるのは「映画は原作をかなりアレンジしたものである」ということです。細かなエピソードや台詞はそのまま使われているものがいくつもあるのですが、4人の王がカスピアン王子と合流するタイミングやアスランが登場するタイミングが全く違っていて、物語全体の流れが大きく変わっているように思います。また、映画では見栄えがするようにか戦闘など勇ましいシーンがかなり描き混まれていますが、原作のほうでは全くあっさりしたものです。さらに、原作はさすがに童話だけあってロマンスなど微塵もありませんから、あれは全く映画のオリジナルとして脚色されたものということになります。とはいえ、そんなことは仕方のないことで、映画は映画として売れなければ仕方ありません。

ということで今回は映画のあとで原作の方を読んだのでこんな感想になるわけですが、こうなると次の「朝びらき丸 東の海へ」以降は先に読んでおくべきなのかどうか迷ってしまいます。まあどちらにしても「全然違うじゃないか!」と思うことは間違いないので、読みたいと思ったとき、読めるときに読んでおけばいいですね。