カスピアン王子完成度の高さはさすがディズニー。

前作「ライオンと魔女」に続く、「ナルニア国ものがたり」のシリーズ第2作「カスピアン王子のつのぶえ」の映画化作品、「ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子のつのぶえ」が今週水曜日に公開されましたが、ファンタジーファンの私としては居ても立ってもいられず、その公開初日の晩にまた一人で観に行ってしまいました。

このシリーズは現実世界の時系列とナルニアの時系列の流れが一致しておらず、今作の場合は前作で活躍した4人の王ことPevensie兄弟が現実世界に戻って間もなくということになっていますが、ナルニアに戻ってみるとそこでは1300年の歳月が経過しているという少々複雑なことになっています。兄弟がナルニアに戻ることになったのは、カスピアン王子が助けを呼ぶために吹いた「いにしえの王を呼ぶ」魔法の角笛の効果で、この角笛が物語の発端となっているためにこの作品のタイトルになっているものと考えられます。

兄弟を演じるのは前作から引き続きWilliam MoseleyAnna PopplewellSkandar KeynesGeorgie Henleyの4人ですが、今回はさらにカスピアン王子を演じるBen Barnesが主役の一人として加わっており、ピーター王とカスピアン王子という役の上でのぶつかり合いだけでなく、BenとWilliamという二人の若者同士の共演というのも見どころの一つではないでしょうか。また今回、下手をするとこの二人を食っているのではないかという演技をしていたのが末っ子ルーシー女王役のGeorgieで、難しい感情を非常に上手く表現していたのではないかと思います。

なにしろナルニアの王として十数年の治世のあとで現実世界に戻ると同時に外見も元に戻ってしまっているので、姿は子供ながら内面は十分な経験を積んだ立派な大人というのがまた複雑なものです。戦闘の場面でも画面だけを見ていると「子供にこんな残虐なことが耐えられるのだろうか」と思ってしまいますが、中身は立派な青年のはずなのでそんな問題はないのでした。逆に、現実世界ではまだ学校に通っているわけですが、そんな子供っぽいことに我慢するのは相当な苦痛なのではないでしょうか。

それにしてもどのシーンをとっても抜け目のない完成度の高さはさすがディズニーというほかありません。2億ドルという相当な制作費がつぎ込まれているのですが、原作の知名度もあり、話題性は十分なので問題なく回収できてしまうことでしょう。しかしこのシリーズは全7作もあるというのがこれまでにはあまりないことです。このペースで行くと第7作となるであろう「さいごの戦い」まで全てが映画化されるにはこれから10年もかかることになりますが、それまでマンネリ化することなく観客の興味を引き続けることができるのでしょうか。観る方も作る方もそれぞれ歳を取っていくことにもなりますし…

ということで、前回「私も次の「カスピアン王子のつのぶえ」が公開されるまでには原作を読破しておき、続きを楽しみに待ちたいと思います。」と言っておきながら未だに全く読めていないので、今度こそ次の「朝びらき丸 東の海へ」が映画化されてしまうまでに原作を読んでおきたいと思います。