Aslan2001年から2003年にかけて映画化され話題となった「指輪物語」、スタジオジブリによりアニメ映画化されて今年7月に公開が予定されている「ゲド戦記」と並ぶ「三大ファンタジー」の一つ「ナルニア国ものがたり」をDisneyが映画化した「ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女」を観てきました。

原作は指輪物語の原作者J.R.R. Tolkienの友人でもあったC.S. Lewisによるものですが、指輪物語が綿密な構想に基づく壮大な歴史物語という形の大人向けの作品となっているのに対し、ナルニア国ものがたりの方はあくまで児童文学という形になっています。また、指輪物語はもともと一つの作品であるのを出版の都合で3つに分割したようなものになっているため、3巻揃って初めて完結するストーリーとなっていますが、ナルニア国ものがたりは当初は一巻で完結するつもりだったものが反響により7巻まで書き足されることとなったものなので、それぞれが一つの物語として完結しているという違いがあるようです。

実は私がまだ幼い頃、自宅に「ライオンと魔女」の本があったのですが、その頃の私にはまだ早いということで読まずにいるうちに忘れてしまい、つい最近になって映画化されると聞いてそれを思い出しました。また、映画を観る前に原作を読んでおきたいと思っていながら結局機を逸してしまったのですが、指輪物語に比べればボリュームも小さな話なので予備知識がなくともすっきりと理解できる内容でした。今一つ物語に奥行きが足りないように感じてしまうのは、単に私が原作を読んでおらず知らないことがあるからでしょうか。

映像の方はILMWETAのコラボレーションによるものですが、さすがに美しくリアリティあふれるものでした。特に、ライオンの姿をした王アスランの堂々としたしなやかな動きは本物以上に本物らしく、威厳を感じさせる素晴らしいものです。またフォーンやセントール、ミノタウロスやその他のファンタジー世界の住人らも実在するのではないかと錯覚しそうです。これらを見ると、今だからこそ映画化も可能になったというなのだということがわかります。

すでに観た人から「The Lord of the Ringsよりこぢんまりしていてイマイチだった」と聞いていたのですが、確かにあれほどの壮大さは感じられないものの、映像の美しさは引けを取るものではありませんし、3時間という上映時間でもまだまだ詰め込み過ぎと感じてしまうLotRよりも映画作品としては自然な構成で良かったのではないかと思います。今後のシリーズ作品の製作も予定されているようですから、私も次の「カスピアン王子のつのぶえ」が公開されるまでには原作を読破しておき、続きを楽しみに待ちたいと思います。