Little Miss Sunshineこれでもかというくらい不幸な家族ですが…

先日観た「幸せのレシピ」で主役級の存在感を見せていた子役、Abigail Breslinがアカデミー助演女優賞にノミネートされた作品ということで興味を持った2006年の映画「リトル・ミス・サンシャイン」ですが、Abigailのノミネートだけでなく脚本賞と助演男優賞については実際に獲得したということなので、これはやはり観ておかなければならないだろう、と早速観てみました。

リトル・ミス・サンシャイン
監督:ジョナサン・デイトン , 他
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2007/06/02)
ISBN/ASIN:B000LXHF4K

アカデミー賞を複数部門で獲得していると聞くと勝手に重厚な作品なのかと思い込んでしまいますが、この作品のジャンルは一応コメディということになっています。といっても単に面白おかしいものではなく、全体的に重苦しい空気の漂った奇妙な雰囲気を持っているのは登場する家族の雰囲気そのもののせいでしょうか。ところどころで「ここは笑うところかな?」と思うのですが、それは何となくシュールな笑いであって、何とも不思議な雰囲気でした。

ストーリーは、色々なトラブルを抱えて上手くいっているとは言えない家族が、道中様々な不幸に見舞われながらも娘をアルバカーキからカリフォルニアの”Little Miss Sunshine”という美少女コンテストに出場させることを通して家族の絆を強める、というようなものです。アルバカーキというのがアメリカのどの辺りにあるのかは日本にいるとよく分からないものですが、中央南部のニューメキシコ州ということでカリフォルニアまでは相当な距離ですね。ここをオンボロのVWタイプ2、いわゆるワーゲンバスで移動しようなどという気によくなるものです。

「幸せのレシピ」では叔母以外に身寄りのなくなった不幸な少女を見事に演じていたAbigailですが、こちらでは不幸を跳ね返す明るさを持った気丈な少女の役を見せてくれています。さすがにアカデミー賞にノミネートされたというだけあってこちらでも相当な存在感です。また助演男優賞に輝いたという祖父役のAlan Arkinや、自殺未遂したゲイの叔父役のSteve Carellなどもそれぞれ彼女に負けない好演です。

何ともバカバカしい設定なのに素直に笑えないようなところはいかにもアメリカのテレビドラマを観ているようでしたが、単なるお笑いではなく最後に心に残るものを与えてくれるのは映画ならではというものかもしれません。巨額の製作費や豪華キャストで喧伝される大作だけではなく、こういった渋めの作品もたまにはいいものですね。これでも本当の映画ファンから見ればまだまだで、ミニシアター系などにはもっといい作品が埋もれているに違いありませんが。