サーチ20年前には夢にも見なかったこと

「世界でもっとも成功しているインターネット関連企業は?」と聞けばきっと多くの人が「Google」と答えるのではないかと思いますが、それだけの企業であるだけに2人の創業者Sergey BrinLarry Pageとその会社の成功物語は数多くの本で語られています。私もそうした本のいくつかを読んできましたが、今回読んだ「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」はちょっと違った切り口でGoogleを語った興味深い本でした。

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた
翻訳:中谷 和男
日経BP社 (2005/11/17)
ISBN/ASIN:4822244873

今となってはGoogleを知る前は一体どうしていたのかもわからないほどですが、Googleがその名を知られることになったのはやはり何といってもPage Rankという秀逸なシステムにより精度が飛躍的に向上した検索サービスでしょう。この本ではGoogle以前・Google以後のウェブ検索に的を絞って記述されたものになっています。

Google以前のサーチエンジンというのはある意味運任せのようなところがあって、自分が求めている、役に立つ情報にたどり着けるかどうかは本人の根気にもかかっていました。期待に応えてくれるページは必ずしもリストの最初の方に記載されてはいないので、何十ものリンクをつぶさにチェックしてようやく見つかるというようなものでした。しかし、もちろん検索語の指定方法にもよりますが、Googleでは上位にリストアップされているページは「認められている」とも言えるので、リストの次のページをめくらなければならないようなことはあまり多くないのではないでしょうか。しかしそれは裏を返せば情報をGoogleに制御されてしまう危険もあるということになるわけで、”Don’t Be Evil.”というGoogleの社是が翻されることの無いように願う必要があるかもしれません。

しかしGoogleについての本はいくつもありますが、AltaVistaOvertureについて語られた本というのはそれほど無いのではないでしょうか。しかし現在のインターネットビジネスに対してこれらの会社が果たした役割というのは無視できるものではないはずで、この本ではこれらについても触れられており、なかなか面白いものになっています。

Amazonのカスタマーレビューなどでも「訳が…」と書かれているようにちょっと読みにくいのですが、検索だけでこれだけ掘り下げた本はなかなかないと思うので、インターネットの歴史を知りたいという人は読んでおいて損はないのではないでしょうか。2005年の本なのでdog yearのこの世界ではもはや古くなってしまっているのが難点ではありますが…