あなたにはいくつできますか?

世の中の男の子を持つお父さん達にとって、子供に対していかに威厳を保つかというのはそれなりの問題なのではないかと思いますが、私もやはりふとしたときに「お父さん、スゲエ!」と言われると嬉しくて得意になってしまいます。そこで調子に乗ると余計な失敗をしてしまったりするものですが、母親ほどには肉体的な繋がりを実感できない父親にとっては大事なモチベーションとなるのは間違いないでしょう。

今回ご紹介する「あしたのパパ – 子どもにすごいと思われる105の方法」という本はそういうお父さん達にお勧めできる非常に楽しい本です。

あしたのパパ/子どもにすごいと思われる105の方法
イラスト:千野 エー
MCプレス (2005/11/29)
ISBN/ASIN:4901972391

著者のマイケル・オズボーン・ジュニア・ ジュニアという人はその名前からも予想がつく通り、両親がアメリカ人ということで外見は全くのガイジンなのだそうですが、その父親が転勤で来日してから日本を気に入って永住を決めてしまったため、生まれて以来日本を離れたことがなく「日本人」として育ったそうです。見た目は金髪に青い目の完全なアメリカ人なのに日本語しか喋れないというのは本人にとっては大変なコンプレックスではないかと思いますが、まあ実はそれはこの本の内容とほとんど関係がありません。

この本では一介のサラリーマンとして生活する著者が、成長して「パパ、すごいね」と言わなくなった子供に対し、これができれば威厳を取り戻せるのではないかという課題をなんと105個も紹介しているものです。その項目は全て身近なものばかりながら多岐にわたっていて、「自転車のパンク修理ができる」に始まり「けん玉で世界一周ができる」、「人工呼吸ができる」、「ロープワークを4種類以上知っている」、「褌の締め方を知っている」、「グローブの手入れができる」などなど…しかし「海パンをはいたままパンツがぬげる」とか「お化け屋敷で声を出さない」などといったかなりどうでもいいようなものもあります。

そしてこれらの項目それぞれに豆知識的な説明があるほか、その多くについて図解入りでまじめに解説が入っていて、よく調べられているなあという感じです。これが全て頭に入っていることならそれだけでも十分凄いのではないかと思いましたが、巻末には参考文献として50以上のタイトルが上げられており、入念な調査の結果であるようです。しかし実はマイケルというキャラクターは架空のものなのではないかとさえ思えるほどできすぎのようにも感じてきます。

また面白いのが7つに区切られたシーンのそれぞれにはボヤキっぽいエピソードが綴られていて、さらに各項目には「マイケルの言い訳」としてそれぞれの課題に子供の前で失敗してしまったときのごまかし方が書かれていることです。一体どれだけダメなお父さんなんだという感じですが、実に憎めない人柄のようです。

ということで、実用的なのかどうなのかよくわかりませんが、特に同じような立場のお父さん達なら面白く読めることは間違いありません。私も二児の父として「これもできるといいかも」と思うような項目がありましたので、親離れしてしまう前にマスターしておいていつか披露しなければ、と決意を新たにしました。