この冬休みはほとんど自宅にいておとなしくしているのですが、主にプログラミング言語Rustの勉強をして過ごしています。ただ、さすがにそればかりでは疲れてしまうので、だいたい一日2時間程度でしょうか。それ以外の時間に、次男が以前読んでいた小説「同志少女よ、敵を撃て」を持ってきてもらったので、次男の滞在中に読み切ってしまう必要があり、それを読みふけっていました。

この作品は2021年に発行された逢坂冬馬氏のデビュー作で、アガサ・クリスティー賞大賞、本屋大賞などを受賞したということで話題になったので、ご存じの方、すでに読まれた方も多いと思いますが、ここではいつも通り内容についてはなるべく語りません。

物語は第二次世界大戦中、イワノフスカヤ村という小さな村で漁師として暮らしていた少女セラフィマが、ドイツ兵に家族や村人を惨殺され、ソ連[赤軍](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E8%BB%8D “Wikipedia: 赤軍”)に焦土作戦のために村を焼かれたことから、その復習のために狙撃兵として訓練を受けた後、前線へ向かうことになる、というような話です。実在のイワノフスカヤ村はモスクワの北北東800kmほどのところにあるようですが、ドイツ軍がこのような位置にいるということはないでしょうからここではないのでしょう。

どうしても戦争物ということで陰鬱な雰囲気が常に漂っていて、またショッキングな場面も多々あって命の儚さが思い知らされ、戦争に正義など存在しないというのがやりきれない思いにさせられます。特に現在も戦争状態が続いているウクライナに近い場所で、その当事者たるソ連赤軍の兵士を主人公としていることで、リアリティが補強されているような気もします。ただ、ソ連、ロシアの歴史には疎いので、少し勉強してみるとさらに良いのかもしれません。それにしても本作を通して知る赤軍もドイツ軍もどちらもろくでもないものですが、軍隊というのはそんなものなのでしょうか。

本作はもともと小説投稿サイト「カクヨム」で、ゲーナというペンネームで連載されていた作品とのことですが、カクヨムにもこのような作品があったのだから本当に玉石混交で、思いがけない素晴らしい作品が他にも埋もれているのかもしれません。いえ、面白い作品はたくさんあってまったく馬鹿にできないのですが、いわゆるライトノベルが多数を占めるので、それらと比べるとだいぶ雰囲気の違う作品なので意外に感じたわけです。とはいえ、内容の割にとても読みやすい文章だったので、一気に読んでしまいました。