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大統領失踪

さすがのスペクタクル。
🇺🇸

第44代アメリカ合衆国大統領であるBarack Obamaが47歳の若さで大統領に就任した当時あれだけ黒々としていた髪が、何年かするとかなり白くなってしまい、すっかり老け込んでしまったように見えたものですが、アメリカ大統領というのはのしかかる責任が重大であるというだけでなく、一般人には想像を絶する激務でもあるのではないでしょうか。まあ、現在48歳の私もだいぶ白髪が増えていますので頭髪については歳相応なのかもしれませんが、なんと言っても世界の大統領、地球上で最も重要な人物に暇というものは無さそうです。


先日読んだ「大統領失踪」(原書: The President Is Missing)という本は、なんとObamaの2代前、第42代大統領であるBill Clintonと人気小説家James Pattersonとの共著による、アメリカ大統領を主人公とした政治スリラー小説となっており、Clintonの大統領としての経験を活かした、というよりその経験がなければ不可能なようなリアルな姿を描いたものになっています。アメリカでも日本でも昨年出版されていますが、その当時そんな話を聞いたような気がするものの、私はそこまで関心がありませんでした。しかし、図書館の「話題の本」のコーナーに置かれているのを見つけ、読んでみることにしたのでした。

大統領失踪 上巻
大統領失踪 上巻

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大統領失踪 下巻
大統領失踪 下巻

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本書はClintonの「共著」ということになってはいるものの、実際のところ彼がどこまで担当したのかはわかりません。実態はPattersonがClintonに相談しながらアイデアをまとめ、ストーリーを書き上げ、Clintonがレビューした、というような形ではないかと想像しますが、これもまったく根拠のない私の推測・憶測でしかありませんので、本当はClintonが草案くらいは書いていたりするのかもしれません。いずれにしても、Pattersonという相当な実力を持つ人が小説としての体裁をまとめ上げているので、ストーリーの破綻や矛盾、あるいはダラダラしているようなところはなく、読みやすい作品となっています。

しかし、冒頭から主人公のDuncan大統領は弾劾の訴追を受けそうになっているのですが、無罪判決とはなったものの実際に訴追を受けたClintonにとっては随分自虐的ではないでしょうか。ただし、その訴追事由はClinton本人とはだいぶ違っているのですが、どのような思いでこのような設定にしたのか、ちょっと興味のあるところです。

なお、Clintonが大統領に就任したのは46歳のときで、Obamaより少しだけ若かったのですね。そして、現在の私の年齢よりも下だったことに気づくと、自分はこんなのでいいのだろうかと思ってしまいますね。まあ世の中のほとんどの人は平凡な暮らしをしていくのでしょうから、必要以上に気にすることはないのだと思いますが。

君の膵臓をたべたい (小説と実写映画)

どちらが良いでしょうか。
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先日読んだ「世界の中心で、愛をさけぶ」のレビューの中に、「キミスイが第二のセカチューと形容されがちだがキミスイの方がピュアな恋愛(青春)を描いており個人的には好きだった。」というものがあってちょっと気になっていたのですが、「君の膵臓をたべたい」を読んでみることにしました。この作品は最近実写映画アニメ映画にもなっていて私も知っていたのですが、例によって天の邪鬼な私は流行りものを避けてしまっていたのでした。

君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたい

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住野 よる
双葉社
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病に冒され死に瀕する人気者の女子クラスメイトと平凡な主人公の男子高校生という設定はセカチューと共通するものですが、その雰囲気は大きく異なります。セカチューの方は重苦しい雰囲気が常に漂っていましたが、本作では膵臓の病気で余命一年という桜良(さくら)が明るく振る舞っているだけでなく、主人公の春樹が淡々と接しているためか、それが良いかどうかは別として、少なくとも桜が元気なうちは悲壮感は感じられません。

この作品は文章としては春樹の一人称で語られているのですが、相手に呼びかけられるときは名前ではなく、「【秘密を知ってるクラスメイト】くん」であるとか「【地味なクラスメイト】くん」、「【仲良し】くん」というような表記になっています。最初はこれをどう捉えたら良いのか分かりませんでしたが、そのようなニュアンスを込めて名前で呼びかけているということなのだろうと解釈することにしました。

果たしてセカチューより良かったかというと、私自身の好みとしてはセカチューに軍配が上がります。時代設定が私の青春時代に近かったということもありますが、本作はやはりちょっと軽いというか、より若者向けのように感じました。とはいえ、悪くはなかったのでせっかくAmazon Prime Videoで無料で観られるようになっていたので、実写映画の方も観てみました。

君の膵臓をたべたい
君の膵臓をたべたい

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(2018-01-10)
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この作品はかなり原作に忠実に映画化されているように感じましたが、原作には登場しない大人になった主人公の思い出として描かれるというのもセカチューと共通です。その大人になった春樹を演じているのは小栗旬なのですが、地味な春樹を素朴な感じで演じていてとても好ましかったです。また、桜良役は浜辺美波ですが、彼女も東宝シンデレラオーディション出身というのはセカチューの長澤まさみとの共通点ですね。なお、私は原作で特徴的な表記になっていた春樹の呼び方が映画でどうなっているのかにも興味がありましたが、これは普通に「君」でした。さすがにどうしようもないですね。

ところで、実はWikipediaのページはネタバレになっていて、核心であるべきことがズバリ書かれてしまっています。私は原作を読み進めている途中でうっかりこれを見てしまってかなりがっかりしたので、皆さんには気をつけていただきたいと思います。Amazonのレビューでも書いてしまっている人がいますが、そこがこの作品の一番のポイントであるのに、それを安易にばらしてしまうというのはどうなのでしょう。本来、レビューというのは購入を迷っているような人が参考にするためのものではないのでしょうか。私も今後は本を読み終わるまで、映画は観終わるまでWikipediaは見ないようにします。

人魚の眠る家 (小説)

自分の身に起こることは想像もしたくありませんが。
🧜🏼‍♀️

元エンジニアということで理系的に筋の通った所があるような気がして東野圭吾氏の作品が好きなのですが、最近「マスカレード・ホテル」を読んで以来、その続編に続いて久しぶりにいろいろ続けて読んでいます。もっぱら図書館の書架にあるものを適当に選んでいるのですが、今回借りてみたのは「人魚の眠る家」という作品です。なお、この作品は昨年暮れに映画化されていたようですが、邦画にも感心を持つようになったのがつい最近のことなので気づいていませんでした。

人魚の眠る家 (幻冬舎文庫)
東野 圭吾
幻冬舎 (2018-05-30)
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プールでの不幸な事故で、朝まで元気に笑っていた我が子が次に会ったときには見た目は変わりないのに自発呼吸のできない脳死状態、というのは子を持つ親としては他人事のように思えず、職場で昼休みに読みながら目頭を熱くしてしまいました。そのような状況で、まだ心臓の動いている子供に対して脳死判定、すなわち死亡宣告を行い、臓器提供に踏み切ることができるのか、私にも全く自信がありません。

本書はそれをテーマにして、周囲の人々との関わりによって変わっていく両親の考え方などを描いた小説です。つまり、東野圭吾による推理小説ではない作品なのです。これまでは東野圭吾といえば推理小説だと思っていたので、本作を読みながらも途中まではこの状況でさらにどんな事件が起こるのだろうと考えてしまいましたが、犯罪のようなものは一切起こりません。

ただ、夢のようなテクノロジーがいくつか登場してそれが鍵になっているですが、それはやはり今のところ夢でしかないでしょう。そんな事ができたら良いと思っている闘病中の方も多いでしょうから、それが実現したら素晴らしいことですが、その場合には新しい問題も生まれるかもしれないということになるのでしょうか。人それぞれ皆良かれと思ってやっていることが、他の人から見ると疑問に感じられるというのはよくあることで、そういうこともこの作品で改めて考えさせられることでした。