Nardi ClassicASIMOってラジコンだったのか…

私は全般的に車が好きで、以前は新車情報は欠かさずにチェックし、今でもモーターショウには毎回足を運び、スタイリングやメカニクス、モータースポーツのいずれにも興味を持っていますが、しかし何といっても好きなのはドライブ、すなわち運転することです。といっても、若かりし頃は無謀な運転だったとは思いますが、別にスピード狂というわけではなく、もちろん景色はいいに越したことがありませんがただひたすら運転しているだけでも良く、何時間運転していても苦になりません。さすがに最近は体力的な衰えもあるのであまり無理はできませんが、独身の頃は実家への帰省時は一般道700kmの道のりを15時間ぶっ続けで運転したり、週末にどこに寄るでもなく一人で500kmドライブしたりしていたものです。

運転といって一般に馴染みがあるのは自家用車や自転車くらいでしょうが、しかしそればかりではありません。誰もができるものではない、職業として運転されているものやちょっと特別な趣味として運転されているものが世の中には色々あります。そんな様々な「運転」についてスポットライトを当てた「『運転』 – アシモからジャンボジェットまで」という本を見つけたので読んでみました。

この本は自動車月刊誌「NAVI」の連載記事をまとめたもので、著者はNAVIの編集部員から自動車評論家となった下野康史氏です。NAVIという雑誌はもちろん自動車を中心に扱ってはいるものの、それを取り巻く社会やファッションについても幅広く取り上げる、一風変わった雑誌です。ちょっと「大人向き」に思えて私はあまり読みませんでしたが、学生時代に親友Yが毎月買っていたのでそれを読ませてもらっていました。

下野(かばた)氏は気取らず普通の人の視線で評論してくれるので私も好感を持っていますが、この本はそもそも自動車についてのものではありません。ただの自動車好きな人の視点から見た様々な乗り物の運転について、それを職業にしている人にインタビューしたり、実際に運転に立ち会ったり、ものによっては自分で運転を体験したりして述べられていて、読み物として非常に面白いものになっています。

サブタイトルにもある通り、その「運転」の対象は大きいものはジャンボジェットやタンカー、自衛隊の潜水艦、SLなど到底一般人には立ち会うこともできないものから、小さいものではシーカヤック、車いすレーサー、馬など「運転」と呼ぶのかというようなものまで、やはり一般的ではないものばかりが取り上げられていますが、最も異質なのは「胃カメラ」でしょうか。私が体験したことがあるのは馬とグライダーくらいです。

電車や雪上車というのは見たことがあるのでだいたい想像が付くものですが、タンカーやホバークラフトというのは普通は現場を見ることもできないのでとても興味深いですね。しかし一番衝撃的だったのはASIMOです。もちろん自律動作しているとは思っていませんでしたが、私はてっきりあらかじめプログラムされた動作をトレースしているものなのかと思い込んでいたのですが、臨機応変に動作させる必要もあるので考えてみればリモコンにした方が理に適っています。でもなんか裏切られたような気がしてしまいませんか?

まあそんなことを言っていても仕方がないのですが、世の中には様々な「運転」があるものです。あとこの本で紹介されていない中では深海探査艇スペースシャトルあたりが興味のあるところでしょうか。そこまで極限の世界で運転するものとなると、現実からあまりにかけ離れていて普通の人には理解できないかもしれませんが…