間取り図あくまでフィクション

自分が引っ越しや工事を考えている場合でなくても、住宅の間取り図というのは見るのも描くのも楽しいものです。新聞の折り込みやポストに投げ込まれる不動産屋やマンション業者のチラシは色々想像しながらじっくり見入ってしまいますし、自宅のリフォーム工事の際はわざわざ自分でVisioを使って描いた間取り図で業者さんに希望を伝えたりしていました。マイホームデザイナーなんていうソフトウェアもあるくらいですから、同じように間取り図が好きという人はそれなりにいるのでしょう。

そんな間取りに注目して、ユニークな間取りを取り上げて一言コメントを付けている「間取りの手帖」の続編として書かれた「間取り相談室」という本を先日ヴィレッジヴァンガードで立ち読みしてちょっと面白かったのを思い出し、図書館で見つけたので借りてきて読んでみました。

間取り相談室
著:佐藤 和歌子
ぴあ (2005/03/18)
ISBN/ASIN:4835609654

本書には全部で60の間取り図が掲載されていて、そのそれぞれに人生相談風の掛け合いが添えられている形になっています。この相談はあくまでフィクションということで著者の創作のようなのですが、その間取り図の家に住んでいる人が抱える悩みという形は狙いとして面白いのではないでしょうか。ただ、狙いすぎて外しているようなものが多いのと、相談に対する答えの方が突き放すような態度でパターン化してしまっているのがちょっと残念です。

しかし、全く説明がないのでよくわからないのですが、この間取り図自体はきっと実在するもので、著者の佐藤和歌子氏が自分で収集したものなのでしょう。その間取りに対して面白おかしい問答を考えるというのはなかなか高度な想像力が必要と思われますので、私にはとても真似のできるものではありません。Amazonのレビューでも辛口のコメントが多いようなのですが、それは前作が良すぎたからでもあるようです。私は「間取りの手帖」の方はまだ読んでいないので、早速図書館に予約を入れておきました。

全体的に見開き2ページのうち左ページが間取り図、右ページにそれに対する問答という形になっているので、「読む」といってもボリュームはかなり限られていて、間取り図をじっくり鑑賞しなければあっという間に読み終わってしまうことでしょう。しかしこの問答はただのオマケ、ユニークな間取り図こそがこの本の真価だと思えば、それを凝視していると様々なドラマが浮かんできて楽しめるのかもしれません。それこそ冗談としか思えない間取りがいくつもあるのですが、そんな家が日本のどこかにあるのかと思うと…