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地球外知的生命体探査」を意味するSETIという単語は、アレシボ天文台の観測データをPCの余剰能力を利用して解析するSETI@homeという分散コンピューティングが流行した時に、一部方面では一般的なものとなったのではないかと思います。私も研究に貢献しようなどと思って一時期はSETI@homeのクライアントを動かしていましたが、CPUを常時フルパワーで動作させることになるので排熱のためにファンがうるさくなることと、実は電気代もばかにならないということがわかってやめてしまい、それ以来忘れてしまっていました。

しかし当然ながら研究自体はコツコツと進められているわけですが、一朝一夕どころか生きている間に結果が出せるかどうかもわからないような代物なので、短気な私にはとても考えられない仕事です。まあそもそも研究職そのものが私には向いていないわけですが…ということで、疑似体験というわけではありませんが、もしもSETI研究者が地球外生命体の手がかりに遭遇したら…という映画「コンタクト」を観てみました。

コンタクト 特別版
監督:ロバート・ゼメキス
ワーナー・ホーム・ビデオ (2007/11/02)
ISBN/ASIN:B000W74DLI

Jodie Foster主演の1997年の映画ということで、撮影が行われた頃はまだ携帯電話は一般的なものではなく、ポケベルが現役バリバリ、研究に使われているPCがPS/2(たぶん)というちょっと懐かしい時代の映画です。この頃はまだSETI@homeも稼働しておらず提案段階だったのですが、この映画は少なからずこのプロジェクトに影響を与えていることでしょう。
VLA - Very Large Array
ストーリーとしては、アレシボ天文台でSETI研究を行っていた主人公Eleanor “Ellie” Arrowayが師でありながらSETIを理解しないDrumlinに妨害を受け、その後新たなスポンサーを得てニューメキシコのVLA(超大型干渉電波望遠鏡群)で研究を続けていると有力な信号を受信、解析を続けるとそれが26光年先にある、こと座のベガから送られているもので、さらにその電波には52年前のベルリンオリンピック開会式でのHitlerの演説のテレビ映像が乗っており…というようなことで物語が展開します。

しかしここまでの物語がちょっと長く、全体で2時間半を超える上映時間となってしまったというのは何とかならなかったのかと思ってしまいました。逆にここからは様々な展開があって飽きさせることがないのですが、初めのうちはちょっとダラダラした感じになってしまっています。

主演のJodie Fosterはこの映画の時点で35歳くらいになっているはずですが、あと10歳くらい若く見えてしまう時もあったのはメイクアップ技術によるものでしょうか。最近の作品でも知的で強さを持ちながらもチャーミングな女性を演じていますが、この映画もJodieの存在感で引っ張っているようなところがかなりあります。しかし、あっと驚く出演者が一人います。それは第42代合衆国大統領Bill Clintonです。もちろん当時現役の大統領がこんな映画に出演するわけはなく、実際の会見映像などをデジタル合成で使ってしまったということのようなのですが、そんなことが許されてしまうものなのでしょうか。まあ大統領にしてみればそんなに問題のあるストーリーでもないし、狭量に思われても困るということで黙認せざるを得なかったのかもしれませんが、当然ながら当時は物議を醸したことでしょう。

ということで、宇宙を旅している間の映像にはちょっとどうかなと思うところがありましたが、現実には一体どうなるのかもわからないわけで、映像で表現しようとすればこうなってしまうものなのかもしれません。そのあたりはCarl Saganの原作でも読んで補完したいところです。しかしそれよりも気になってしまうのは、映画に出てくるときの日本人のいつもながら「エキゾチック」な格好ですね。そんな日本人いないよ、と言いたいところですが…