Next短いようで結構長い2分。

先日観た「ジャンパー」は超能力の一つ、テレポーテーション、瞬間移動をテーマにしたSF作品でしたが、超能力といって忘れてはならない人気の高い能力に予知というものがあります。これから起こる未来の出来事をあらかじめ知ることができるという能力ですが、もちろん現実にはあり得ないと思いつつも「そんな能力があったらなあ」と誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。デジャヴというのも不思議な感覚ですが、そのあとに起こることを知っていたような気になるのはあくまで気のせいなのでしょうか。まあそれはともかく、昨晩はこの予知をテーマにした映画「NEXT -ネクスト-」を観ました。

NEXT
監督:リー・タマホリ
ギャガ・コミュニケーションズ (2008/10/03)
ISBN/ASIN:B001CEIK64

この作品は「ブレード・ランナー」「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」といった未来ものSF映画と同様、Philip K. DickのSF小説を映画化した物で、原作となっているのは「ゴールデンマン」という短編小説です。これら一連のDick作品の映画版には共通の独特の空気があるような気がしますが、この「ネクスト」の舞台となっているのは現代だということもあり、ちょっと雰囲気が異なるように思いました。

主人公は自分に影響する2分後までの未来を子供の頃から見ることができるという特殊な能力を持つマジシャンFrank CadillacことCris Johnsonという男で、演じるのはNicholas Cageです。Crisはその能力をマジックに織り交ぜ、またカジノで目立ちすぎないよう気を付けて使いながら生活してきましたが、その能力にJulianne Moore演じるFBI捜査官Callie Ferrisが目を付け、事件捜査に協力させようと圧力をかけてきます。そしてここに何故かCrisには本来見えないはずの未来が見えた謎の美女、Jessica Bielが演じるLiz Cooperが絡み、またテロリストグループも彼の命を狙ってきて…というような感じです。

ストーリーのオチには私もびっくりしてしまいましたが、フラッシュバックのような感じでほんのちょっとだけ未来の映像が挿入され、またすぐリアルタイムの映像に戻るというのがなかなか斬新な効果になっているようで、飽きずに観ることができると思います。いや、本当にそのオチはないだろうという感じだったのですが、それは観た人誰もが思うことでしょう。

しかし現実的な話として、未来が見えるというのが本当だとしたら、一体どういう感じなのでしょうね。未来の映像と現実の映像を同時に見ることができるのならいいのですが、未来を見ている間は現実世界は意識することができず、事実上盲目になってしまうというのではそれはそれでかなり問題がありそうです。この映画では未来を見ながら戦っていたり車の運転までしていますからそんなことはないのでしょうが、二つのことが同時にできない人にはまず授かることのできない能力なのでしょうね。ということは私には無理ということになりますが、わずか2分先でもそれがわかるだけでほとんど無敵になれるようですから、かなり魅力的です。ひょっとしたら瞬間移動よりもいいかもしれません。