Jumperあなたならどう使いますか?

夢見る少年にとって超能力というのは非常に魅力的なもので、私も子供の頃には「どれか一つ超能力を授けられるとしたら何がいい?」なんていうことを考えてみたりしたものですが、数ある超能力の中でもおそらく一番人気なのは瞬間移動、テレポーテーションなのではないでしょうか。もちろんそんな能力は魔法と同じく夢物語でしかないわけですが、もしも瞬間移動が可能になったとしたら生活が一変するのは間違いありません。

そんな瞬間移動の能力が身についていることを知ってしまった少年が主人公の映画「ジャンパー」は東京渋谷の街頭でゲリラ的にロケを行ったというような話もありますが、やはりSF好きな私としては観ないでおくわけに行かず、レンタルしてきました。そういえばDVDで映画を観るのはずいぶん久しぶりのような気がします。

ジャンパー (特別編)
監督:ダグ・リーマン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2008/07/23)
ISBN/ASIN:B0019GZBK8

物語は主人公のDavid Riceが高校生の時、凍った川にはまって氷の下でもがいているときにふと能力が発現するというところから始まります。その後この作品でジャンプと呼んでいる瞬間移動の練習を重ねたDavidがまずどうしたかというと、夜中に銀行の金庫にジャンプして大金を盗み出すということです。これは全く褒められたことではありませんが、もしも瞬間移動できたらというときに同じことを考える人は少なくないでしょう。

その後場面は変わって優雅だが孤独な生活を送っている成人したDavidが登場しますが、これを演じているのはAnakin SkywalkerことHayden Christensenです。Anakin役の時もその後のDarth Vaderへの変身を予感させるような微妙な悪顔でしたが、今回も仕事もせずに浪費生活を送るろくでなしの役が何となく似合って見えました。

Davidが子供の頃から好きだったというMillieの役は、高校生の頃は「チャーリーとチョコレート工場」でVioletを演じていたAnnaSophia Robbが、大人のMillieはThe O.C.で人気のRachel Bilsonが演じていますが、どちらも可愛くてすてきな女優さんです。自由気ままな生活を送るDavidがこだわるだけの魅力を演じ切れているのではないでしょうか。ちなみにこのRachelは以前The O.C.の時恋人役だった人と付き合っていて、今はHaydenと付き合っているということなのですが、役にのめり込んでしまうタイプなのか、それとも公私混同しやすいタイプなのか…

それはさておき、Davidはその後パラディンなるジャンパーの抹殺を使命とする組織に追われることになるのですが、それも自業自得のように思えてしまうのですよね。パラディンのリーダー役のSamuel L. Jacksonは髪を真っ白にしていかにも怪しい雰囲気なのですが、ジャンパーとパラディンの一体どちらが悪役なのかと聞かれても即答できません。映画の中ではパラディンを悪く描こうとしているように見えますが…そういえばSamuelとHaydenは「エピソード3」以来の共演でしょうか。

ということで、どちらも応援できないので気持ち的にちょっと置いて行かれてしまったのですが、ジャンプシーンの特殊効果などはさすがに現代の映画らしく違和感なく描かれているように思いました。渋谷のシーンは過度にエキゾチックに描かれていて、日本人が持つ中国のイメージに近いような、というより「ブレードランナー」のダウンタウンかと思ってしまいました。まあ欧米人にとっては日本も中国も一緒なのでしょうが、向こうからしてみれば「『欧米』と一括りにするな」というところかもしれません。