日本人なら誰でも、多かれ少なかれ折り紙で遊んだ経験があるのではないでしょうか。折り紙は必ずしも日本だけのものではありませんが、日本ほど深く浸透しているところがないというのもまた事実で、海外でも”Origami”で通じると言われています。と言っても、一般に知られているわけではないので誰にでも通じるというわけではないのですが…日本では折り鶴くらいは折ることができても全く珍しいことではありませんが、外国人が見ると日本人の手先の器用さに驚かれるので、その場でサッと鶴でも折ってプレゼントすればとても喜ばれるでしょう。
さてこの折り紙、どういうわけか私の長男(まもなく11歳)が非常に凝っています。図書館へ行くたびに折り紙の本を借りてきて、家にいてちょっと時間のあるときにはずっと折り紙を折っているので、「作品」はどんどん溜まっていくばかりです。泊まりで出掛けたときに色紙や折図を持って行かないと、「早く帰って折り紙をしたい!」などと言い出す始末です。
そんな長男が以前電車に乗ったとき、隣りに座った家族連れが持っていた折り紙の本が凄かったと言うので、その場でAmazonで検索して購入したのがこの「本格折り紙 – 入門から上級まで」という本です。私も見てみて納得、なかなか凄い本でした。
「入門から上級まで」という副題が付いている通り、掲載されている折図は入門篇から初級篇、「これも折り紙篇」、中級篇、上級篇という順に分けられた43種類で、冒頭の入門篇は20番前後の折手順で完成するものからとなっています。しかし、上級篇で一番複雑な「悪魔」に至ってはなんと折手順が144番まであるというとんでもないものです。これは大人でもなかなかできるものではありませんし、かなり大きな用紙を使わないと難しく、25cm以上を推奨となっています。そもそも25cm以上の折り紙用紙なんていうものは普通の家庭にあるものではないでしょう。137番までの「カブトムシ」は30cmぐらいを推奨、122番までの「龍」は25cm以上の薄い和紙を推奨、と折る前からのハードルの高さが尋常ではありません。
さすがの長男もこの本の上級篇のレベルは手ごわかったようで、購入してからおよそ半年かけてようやく「悪魔」と「龍」を折ることができるようになりました。実際に折ったものを見てみるとその複雑さは一体何がどうなっているのかわからず、1枚の紙を何度も何度も折ることでこのような立体的なものができてしまうというのはやはり驚きです。特にカブトムシの塊感は凄いもので、千羽鶴と別次元のものなのは間違いありません。本当はもう少しビシッと折ることができるとさらに見栄えがいいのでしょうが、とりあえず本人はこれで満足しているようです。
あとは折図を見ずに折ることができると、人前で折ってさらに驚かれること間違いなしだと思うのですが、若い頭でもさすがに140前後までの手順を覚えるというのは厳しいようです。まあ折図を見ながらで完成までに40分ほどもかかるということなので、仮に覚えたとしてもよほど集中できる時でないと折ることはできませんね。ちなみに「悪魔」の場合、手順の16番までは単に折り目をつけるだけのもので、折っては開き折っては開きで全く形が見えません。私などはこの時点で挫折してしまいそう、というよりそんな折図を見ただけで嫌になってしまうものですが、こんなものを作り続けていたら忍耐力も養えそうで良いかもしれません。