The Clone Wars終わってしまったかと思っていたスター・ウォーズ・サーガに再び出会えるとは…

昨年11月から年明けの2月にかけて決行された全米脚本家協会のストライキの影響で、今秋の予定だったハリー・ポッターシリーズの映画第6作「ハリー・ポッターと謎のプリンス」の公開が来年夏に先送りされることになったというニュースがありましたが、この作品以外でも今年は注目作品のラッシュとなっていて、毎月1作品のペースを基本として映画を観ることにしている私にとっては嬉しい悩みともなっています。そんな中でも密かに今年1番楽しみにしていたのがスター・ウォーズシリーズからのスピンアウト作品「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」なのですが、盆休みの帰省から戻ったばかりの昨日、先行上映の初日ということで期待に胸を膨らませて観に行ってきました。

エピソード2/クローンの攻撃」と「エピソード3/シスの復讐」の間にあったとされている「クローン大戦」の間の出来事を描いた作品ですが、何といっても特徴的なのはこの作品が全編3D CGアニメーションにより製作されているということです。その作画タッチは人物に関してはむやみにリアリティを追求せずにあえてアニメらしさを残したPCゲームのようなものになっていますが、細部の質感の表現やメカの造形と動きに関してはどこまでもリアルなもので、スター・ウォーズの世界にどっぷりと浸ることができるのではないでしょうか。
The Clone Wars - Trooper
そもそもスター・ウォーズに限らず最近のSFやアクションの作品は実写といってもかなりCGにより手が加えられていて、全く実写のままの部分というのは僅かになっているのではないでしょうか。俳優はただグリーンバックの前で演技をしているだけで、映画ができあがるまでどんなところにいることになっているのかわからないというようなことも珍しくはないでしょう。結局、もはや俳優というのは映像の1要素に過ぎず、映画の本質ではなくなりつつあると言うことなのでしょうか。とはいえ、台詞の方はむしろより重要度を増しているとも言えるでしょうから、求められる演技力の質というものが変わってきているということなのかもしれません。

ところで、登場人物の多くはエピソード2や3でお馴染みの人たちなので過去のスター・ウォーズシリーズを観ている人にはお馴染みですが、主要人物の中で初登場となるのはAnakinのパダワンとなるAhsoka Tanoです。Togrutaの14歳の少女で奔放な物言いながら鋭い直感と優れたセイバーの扱いで、Anakinに手を焼かせつつも絆を強めていくというような役どころなのですが、どうにも悲劇的な結末がチラチラと見え隠れしてしまい安心して見ていられませんでした。それにしても自分の師匠に向かって「スカぴょん」(“Sky-guy”)呼ばわりってどうなのよ、という感じではありますが…
The Clone Wars - Republic Attack Cruiser
アニメだからといって子供向けということは全くなくて、スター・ウォーズファンであれば間違いなく楽しむことのできる作品になっているのですが、ちょっとテンポが速すぎて雑なようにも感じられてしまったのが残念です。予算の都合などもあるのかもしれませんが、同じ内容のまま120分程度の尺のゆったりとした展開の作品として、世界を堪能できるようにしてもらえるとさらに素晴らしかったのではないかと思います。なお、この後このシリーズは今秋から1話22分の100話構成のテレビアニメとして放映される予定で、今回の作品はその1話にあたるということですから、ファンとしてはそちらの方も楽しみです。テレビ放映はCartoon NetworkとTurner Network Televisionだそうですが、日本でも見ることができるようになるのか、あるいはDVD化を待たなければならないのかも気になるところですが…ボックスセットにされたりしたらそれも買ってしまいそうで怖いです。