The Bucket Listやり残していることはありませんか?

まだまだ若輩者のつもりの私も歳を重ねていつの間にか中年の仲間入りをしようとしているわけですが、医療の進歩と共に平均寿命が延び続けている日本でも、中高年ともなれば日頃の生活と運次第でいつどんな病気にかかって死んでしまったとしてもおかしくありません。これまで無頓着だった健康診断の結果も数値を食い入るように見てしまい、それが飲み会のネタになることも多くなり不健康自慢が盛んに行われるようになったのは寂しいことですが、受け入れなければならないことなのでしょう。

しかし、ある時「余命6ヶ月」と宣告された時、それから先の短い人生をどう過ごすかということについてはこれまで考えたこともありませんでしたが、今回映画「最高の人生の見つけ方」を観てからは色々考えざるを得ませんでした。

最高の人生の見つけ方
監督:ロブ・ライナー
ワーナー・ホーム・ビデオ (2008/09/25)
ISBN/ASIN:B001CUI55O

自動車工場で働くCarterと、大病院を経営する富豪のEdwardの二人が癌に冒されて入院したのが偶然同じ二人部屋で、最初は社会的地位の違いもあってそりの合わない二人も苦しい闘病生活を互いに見ているうちに友情で結ばれるようになり、それぞれほぼ同時に余命6ヶ月との宣告を受けてからそれまでにやり残したことを果たすための旅に出る…というようなハートフル・コメディですが、短い文章で簡単にまとめようとするとあまり面白そうに見えませんね。

原題の”The Bucket List”というのはこの「やり残したことのリスト」のことで、字幕では「棺桶リスト」と訳されていましたが、それまでの人生でやり残していて死ぬまでに果たしておきたいこと、ということでCarterとEdwardが挙げた内容は18項目に上るようです。ローマやピラミッドを見るという比較的単純なことから、タトゥーを入れるとか万里の長城をバイクで走るといった冒険的なこと、「全く見知らぬ人に親切にする」とか「世界一の美女にキスをする」といった抽象的なことまで様々ですが、これを金に任せて次々こなしていくのは本人らにとっては痛快でしょう。

しかし、その「金に任せて」というあたりが「それが本当の幸せなのか」という疑問に繋がるものでもあり、なかなか複雑な思いにもなるのです。ただ、病院のベッドにくくりつけられて様々な療法を試されながら外の空気を吸うこともままならないまま生かされていくよりは、やりたいことをやってからスッと死を受け入れる、というのはできることなら私もそうしたいものです。

なお、Carterを演じるのはMorgan Freeman、EdwardはJack Nicholsonが演じていますが、全くタイプの異なる二人ながらそれぞれ非常に味のある演技はさすがと言わざるを得ません。画面で見ている限り本当に楽しく幸せそうな二人ですが、全く同い年ということで息が合ったということもあったのでしょうか。余命半年にしては元気すぎるような気もしましたが、まああまりしんどそうなのも見ていて辛いですからね…