Journey to the Center of the Earth3Dで観ないと意味がない?

以前は洋画といえば字幕付きで観るもの、と決まっていたように思いますが、このところは吹き替え版もだいぶ定着してきました。だいぶ以前からヨーロッパでは多国語の映画は当然のように吹き替えられていたのですが、日本では洋画が特別なものとされていたのか、多少不自由な思いをしながらも字幕を読みながら映像を観る、という目を酷使するような状況になっていました。しかし、私自身もどちらかを選ぶことができる時は、俳優は台詞も含めて演技しているはずなので、その台詞のニュアンスも楽しみたい、という理由で字幕付きの方を選ぶことにしています。

また最近は、特にファミリー向けの作品を中心に、吹き替え声優にテレビなどで人気のタレントを起用することが多くなってきました。もちろんその理由は話題作りにありますが、残念なことに、たとえドラマで人気の俳優であっても、必ずしも声優として優れているということにはならないものです。今回子供達と一緒に観た「センター・オブ・ジ・アース」はそんな残念な気持ちにさせられてしまう作品でした。

センター・オブ・ジ・アース [DVD]
監督:エリック・ブレヴィグ
ジェネオン エンタテインメント (2009/03/25)
ISBN/ASIN:B001Q2HO50

Jules Verneの古典SFアドベンチャー「地底探検」を原作にした作品ですが、本作の一番の特徴は全編3D実写映像となっていることです。残念ながらレンタルDVDでは3D版を見ることができなかったのですが、映像の随所に3Dを意識したショットが見られ、3Dで見てこそ本来の面白さが味わえるのかもしれないと思わされました。

原作の「地底旅行」が出版されたのは今から150年近くも昔、1864年のことですから、現代の科学知識を持ってみると何とも荒唐無稽なおとぎ話なのですが、当時の人々にはこれでもかなり刺激的なものだったのでしょう。しかし、この映画では中途半端に現代の話にしてしまっているので、どうしても説明の付かない苦しいところがあるように思いました。飛行機の中でPSPのブラウザを使ってGoogleで検索ができるというのに…

主演はBrendan Fraserなのですが、私は「ハムナプトラ」シリーズを観ていないのでこの人には馴染みがありませんでしたが、冴えない学者にしては体格がいいのは気になったものの、まあ悪くはないでしょう。ただ、冒頭で問題視したのはこの人の吹き替えをしている沢村一樹なのです。俳優としては多才な役柄を演じられる優れた人なのでしょうが、声だけで演じることには慣れていないのかボソボソと聞き取りづらく、何度音量を上げにいったことでしょうか。一方、ヒロインは舞台となったアイスランド出身のAnita Briemという女優さんが演じているのですが、男勝りな役柄にぴったりな、勝ち気な印象の美人です。またこちらの吹き替えは元モー娘。矢口真里なのですが、全く気になるところなく上手く演じられていたのではないでしょうか。

ということで、どうもスッキリ楽しめなかったこの作品なのですが、原作を読んでみればまた違うかもしれないので、近いうちに読んでみようと思っています。思えば未だにJules Verneを一度も読んだことがないなんて、SFファンを名乗る資格がないかもしれませんね。