Waitressパイはいかにもアメリカン

先月から大作ラッシュが続いていて、私はだいたい2週間おきに映画館に足を運ぶようになっています。かつて無い頻度ですが、これも来月の「ハリー・ポッターと謎のプリンス」までのことでそれ以降はまた落ち着くことでしょう。

映画館ではどうしても大スクリーンに映える大作に目が行く私ですが、最近自宅でDVDを観るときにはちょっと嗜好が変わってきて、若干インディペンデントよりの作品を好むようになってきました。といってもそれほどマニアックなものではなく、このところ気に入っているのがFox Searchlight Picturesによる制作のものです。このスタジオからは昨年度のアカデミー受賞作である「スラムドッグ$ミリオネア」が出ているので世界的にも注目されているのではないかと思いますが、私は先日「ジュノ」を観て以来、映画の本当の面白さがようやくわかってきたのかもしれないと思いつつあります。

ということで、今度はこのFox Searchlight Picturesの作品の一つ、「ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた」を観てみました。

ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた [DVD]
監督:エイドリアン・シェリー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2008/11/07)
ISBN/ASIN:B001EI5MMI

舞台はアメリカ南部の田舎町、27種類の美味しいパイを出すというJoe’s Pie Dinerのウェイトレスとして働くのが主人公のJennaです。ただし、ウェイトレスとはいっても彼女らもパイは作っていて、Jennaの作り出す数々の独創的なパイは天才的なもので、訪れる客を魅了しています。しかしこのJennaの生活は幸せなものとは言いづらい、支配欲の強い夫との暮らしに耐えるような毎日で、コツコツとお金を貯めて逃げる準備をしているのでした。そんなときに望んでもいないのに妊娠が発覚して悩みの種が…といったような状況です。

話の中に登場する男性は誰も彼も問題のある男たちばかりで、こんな連中に囲まれていたら女性も幸せになれるのか怪しく思えてきますが、それでも最後は皆それぞれ落ち着くところに落ち着いて、ささやかな幸せを噛みしめることができているようなので、一応ハッピーエンドということなのでしょう。

この作品はAdrienne Shellyが監督した最後の作品ということなのですが、彼女はこの作品がアメリカで公開された半年後、階下の住人とのトラブルで殺されてしまったのだそうです。何とも悲劇的な最期でまた一人の才能を失ってしまったことが残念ですが、実はAdrianneはこの作品で監督・脚本だけでなくJennaの同僚ウェイトレスDawnの役も演じており、彼女の姿がスクリーンにも残ることになりました。

まあどうもJennaのダメ亭主Earlの印象がかなり強くて、本当にこんなどうしようもない男がいるのかもしれないと思うと世の中の女性を哀れみたくもなりますが、実際のところはどうなのでしょう。改めて振り返って見ると私自身もそんなにいい夫でいるのかどうか自信がなくなってきましたが、一応気持ちだけは…というのはEarlも同じなのかもしれません。ということはそれだけでは全然ダメだということですね…