ィヨコワケハンサムあの曲にそんな背景が…

最近図書館に行くたびに読みたい本を何冊も見つけてしまい、自分で買ったり知人に借りたりした本が「積ん読」状態のまま一向に消化できない私ですが、後輩Mに借りた「クレイジーケンズ マイ・スタンダード」もそんな中の一冊でした。クレイジーケンバンドの代表であり作曲家でもあるクレイジーケンこと横山剣氏の自叙伝です。だいぶ以前から借りっぱなしになっていたのですが、ようやく読むことができました。

クレイジーケンズ マイ・スタンダード
著:横山 剣
小学館 (2007/12/07)
ISBN/ASIN:4093637156

およそ500ページというボリュームには少々怯みそうにもなりますが、読み始めてみるとスラスラと読めてしまい、退屈することなく最後まで楽しむことができました。それも文体が軽いからなのですが、実は内容の方は結構重いことなのにそれを何気なくサラリと書いているというような感じです。

子供の頃に両親が離婚し、母親に引き取られたあとは働く母親の代わりに親戚に世話になって育ち、その後ワルの道を歩みかけながらも作曲という自分の目的を持っていたことでどっぷり浸かってしまうこともなく、地道に書き続けた曲が認められてクールスRCのボーカリストとなり…これでもかなり端折って書いていますが、今や数多くの楽曲を提供する作曲家として、またテレビCMにも出演するなどして大活躍しています。

現在も毎年コンスタントにアルバムをリリースしていて、その引き出しの数には恐れ入るばかりです。しかしこれまで基本的にインディースとして制作してきたCKBなのですが、今年8/12発売予定のアルバム「ガール!ガール!ガール!」はユニバーサルミュージック内に専用のレーベル「Double Joy International」を立ち上げてついにメジャーデビューということになっています。

ガール!ガール!ガール!(初回限定盤)(DVD付)
アーティスト:クレイジーケンバンド
ユニバーサル シグマ (2009/08/12)
ISBN/ASIN:B002CNW7UO

それはともかく、この本を読んでみるとCKBの音楽の背景にあるものが色々見えてくるような気がして、これまでに何度も聴いたはずの曲でも違った風に聞こえてきます。色々大変な思いをしてきて今の剣さんがあるのに、それを微塵も見せずにサラッとしているのが何ともカッコ良いです。もしも私が同じような立場にあったとしたら、すっかり滅入ってしまって完全に道を踏み外してしまっていることでしょう。

また私が読んでいて面白かったのは、横浜生まれの剣さんと私の生活圏とがかなり重なり合っていて、懐かしい地名などが色々出てくることです。生活レベルは互いに異なっていたので出会うことはなかったのでしょうが、日吉で少年時代を過ごした話であるとか、自由が丘から八雲のシェルガーデンに抜けて…とか、私も自分の少年時代を思い出しながら読んでしまいました。まあ、剣さんと比べることもできないくらいかなり軟弱な少年でしたが。

というようなことはどうでもいいとして、この本はCKBファンには必読です。剣さんもよくステージでニューアルバムについて「自分で買わないで友達に借りてもいいから聴いて欲しい」というようなことを言っていますが、この本も借りてでもいいから読むべきでしょう。ページの片隅には変なパラパラマンガが付いていますが…