GPS衛星無理にでも出かけたくなります。

もともと軍事目的で開発・運用されていたGPSも今や民生品でも様々な用途に利用され、携帯電話にまで搭載されるようになりました。当初は民生用には分解能を1/10に落としたものだけが公開されていたため100m程度の精度しかなく、それだけではカーナビ用途には不十分なのでそれを補完するためのマップマッチングやDGPSといった技術が発達しました。これらの技術は高精度な情報が提供されるようになった今も、GPSの受信状況が悪い時やさらに高い精度を得るために有効なものです。

また、GPSの受信機、アンテナも目覚しい発達を遂げました。90年代のカーナビでは数cm四方のアンテナモジュールをフロントガラス下に置いても雨の日は十分に受信できなかったり、首都高などのガード下では電波が途絶えてしまったりしたものですが、今や携帯電話などにも搭載されるほど小型になり、ポケットの中や車内でも問題なく受信できるようになりました。こうした進歩から最近日本でも流行り始めているのがfoursquareロケタッチなどの位置情報サービスですが、GPS情報のもう一つの利用方法として徐々に普及しつつあるのがジオタグではないかと思います。

デジタルカメラの撮影情報などを画像ファイルに埋め込む形式として標準的になっているEXIFにはGPS情報を格納することができ、ここに撮影地点の経緯度情報を登録しておくというのがジオタグですが、この情報をもとに地図上に写真を表示したり、様々な応用が考えられます。その中で秀逸なのがiPhoto ’11に搭載されたスライドショーのテーマ「撮影地」で、ジオタグの情報に基き地図上に写真を配置し、その間を滑るように移動しながら表示するようなスライドショーを作成してくれます。私も旅行の時のスライドショーを作ってみたのですが、ジオタグさえ付いていればあっという間にかなり見栄えのいいものができてしまいます。

ただ、問題はジオタグを付けるのが面倒ということです。iPhotoやPicasaを利用すれば地図をクリックすることでジオタグを付けることはできますが、それでも1枚1枚地図上で探すのはなかなか大変です。最近はGPS内蔵のカメラもいくつか発売されていますし、iPhoneなどでも自動的にジオタグは付きますが、私のK-7にはもちろんそんなものはありません。しかし、そういう人のために、というわけではありませんが、ひたすらGPSの位置情報を取り続けるGPSロガーというものがあり、そのデータを取り込むことで半自動的にジオタグを付けることができます。私も以前から欲しい欲しいと思いつつ我慢していたのですが、ついにこらえきれなくなりHolux M-241 Wireless GPS Loggerというものを購入してしまいました。

Wireless GPS Logger M-241
メーカー:HOLUX
HOLUX (-)
ISBN/ASIN:B001LGIK5O

35mmフィルムケースを模した形状で、黄色ということからKodakを彷彿とさせます。単三電池を入れることからやや細長くなってしまったようですが、致し方ありません。その単三電池一本で約12時間稼働とされていて、充電式電池は使用不可となっていますが、嬉しいことにエネループでは問題なく使えており、連続稼働時間も12時間程度であったかと思います。

ログを取るのはいたって簡単で、ENTERスイッチを一回押すだけです。しばらくするとGPS衛星の電波を捕まえて、自動的に記録を始めます。一度衛星を捕捉すると車や電車の中でも窓に近ければ記録を続けるようですが、さすがにトンネルなどはどうしようもありません。トンネルや建物の中に入るとどうなるのかというと、電波が長時間途切れるとそこでログが分断され、いくつかのデータに分かれるようです。

先日、そのログを取ってみたいがために、というわけではありませんが、次男を連れて京都へ行ってきたのですが、朝出かける時から帰ってくるまで電源を入れっぱなしで問題ありませんでした。12時間といえば日帰りで出かける場合に十分な時間ではないでしょうか。泊まりがけの場合には換えの電池が必要ですが、エネループなら気兼ねなく使えるでしょう。帰宅後、データは付属のezTourというあまり評判の良くないソフトウェアで吸い出し、それをGPXという形式で保存したものをLightroomのJeffrey’s “GPS-Support” Geoencoding Plugin for Lightroomというプラグインに読み込ませ、エクスポート時にプラグインを指定して出力すれば自動的にジオタグが付加されます。こう書くとあまり簡単には見えないかもしれませんが、必要な操作は少ないのでそれほど面倒なものではありません。少なくとも、地図をいちいちクリックしていくよりははるかにラクチンです。

ということで、ハワイやサンフランシスコに行く前に買っておけば良かったと今さら後悔していたりするわけですが、これからも旅行には度々行くでしょうから、遅すぎるということはないでしょう。これまでに撮った写真についてはどうしようもないので暇を見つけてはコツコツとジオタグを付けていくことになりますが…