Pentaxコストパフォーマンスは抜群で満足感バッチリ。

デジタル一眼レフカメラを購入して以来、その撮像素子とレンズの大きさによる解像力や描写力の明らかな違いのせいで、つい先日までの私は写真を撮るためにコンパクトカメラを使う気になれませんでした。全く同じ状況で、同じような調子で撮った写真でもその両者で得られる画像は全く別物と言っていいほどの違いです。もちろん、テクニックのある人ならコンパクトカメラでも遜色の無い写真を取ることができるのでしょうが、そういう人が一眼レフで撮った写真はさらにその上を行くものになるか、あるいは楽に撮ることができるかなのではないでしょうか。

そんなことで、私はどこへ行くにも一眼レフのK-7を抱えていました。一眼レフの中ではコンパクトなペンタックスの製品なのでそれほど苦というわけではありませんが、付けているレンズがタムロンA09という510gもある大口径レンズなのでそれなりにかさばります。さすがに国内の出張の時までは持って行きませんし、同行者がいるときは「いったい何をしに来たのか」と思われかねないので自重しますが、単独での海外出張の時にはカバンに忍ばせていくので荷物はズシリと重くなります。しかし、海外出張となるといろいろ目に付くものがあるもので、連れのあるときにも撮りたいものを見つけてしまい、歯がゆい思いをしてしまうことがあります。そこで「こういう時にコンパクトカメラがあったらなあ」と最近になって感じていました。

そんな時に偶然、ペンタックスのRS1000という製品が7000円弱で売られているということを知りました。このカメラはカメラの前に付けられている透明アクリルパネルと本体の間に好みのシートを挟み、着せ替えを楽しむことができるというのが売りになっていて、それも実に楽しそうです。そこで購入の直前まで行ったのですが、よくよく調べてみるとレリーズタイムラグが90msもあるということが分かりました。気持よく撮影するためには重要なポイントですから、これはいけません。

それでは他はどうなのかと見てみると、同じペンタックスのI-10レリーズタイムラグは40msということなのでRS1000の半分以下で、大きな違いがあります。値段の方はちょっとだけ高くはなりますが、それでも一万円未満になっていてお買い得…ということでうっかり購入してしまいました。

PENTAX デジタルカメラ Optio I-10 クラシックブラック OPTIOI-10CB
メーカー:ペンタックス
ペンタックス (2010/02/25)
ISBN/ASIN:B0035RQ9GE

特にペンタックスでなければということはなかったのですが、やはりどうしても愛着があるのと、他のメーカーとはちょっと違うこだわりがあるような気がして、つい選んでしまいます。実際、他社のカメラの方が高機能で高性能なのは知っているのですが、数値で語れる性能だけではない何かに惹かれてしまうのです。そういう製品はなかなか多くの人に理解されるものではないでしょうから、バカ売れすることもないでしょうが、しかし着実にファンを生むのではないでしょうか。

この製品の一番の特徴はなんといってもその外観デザインです。往年のAuto 110をイメージしたレトロなデザインが可愛らしいと一時話題になったものですが、中でも限定販売されたクラシックシルバーのモデルは特に人気があるようで、販売終了となった今ではちょっとした高値になっているようです。一方、私が購入したのはクラシックブラックのモデルですが、これが一番Auto 110に近くて悪くないのではないかと思うものの、比較的不人気なようで安くなっているのでした。パールホワイトは女性に人気なようで、ブラックより若干高いようです。

カメラとしての性能は1210万画素で5.1~25.5mm、F3.5~F5.9というレンズとの組み合わせの、特に可もなく不可もなくといったところかもしれません。しかし、このシンプルで必要十分の性能がこのデザインにマッチしていていいのではないでしょうか。もちろん、HD動画の撮影や顔認識AF、各種エフェクトという今時の基本機能は備えていて、普段使いのカメラとしては不満はないでしょう。

ただ、Auto 110は110フィルムというコンパクトカメラ用のフィルムを使用したレンズ交換式一眼レフカメラという、かなりユニークなものであったのと比べると、デザイン以外は個性に欠けると言われても仕方ないかもしれません。しかしその点については、ペンタックスがAPS-Cではないセンサを使用したミラーレス機を開発中とのことですので、それがAuto 110の正統的後継機になるのではないでしょうか。まあ私としてはK-7と同じKマウントのミラーレス機にしてもらえた方がレンズが共用できて嬉しいんですけどね…

カメラが届いて、まず充電しようと思ったときに驚いたのが電池パックの小ささです。日頃K-7の大きな電池に慣れていると、単三電池よりも軽いのにこんな容量で足りてしまうのかと、びっくりしてしまいます。今のところ数十枚しか撮影していないのでどの程度の寿命なのか分かっていませんが、少なくとも2,3日の旅行なら充電器がなくても足りそうな雰囲気です。

また、今回メモリーカードは購入せずに手元にあった16GBのSDHCカードを使用することにしたのですが、これだけの容量があるとデフォルトの設定ではなんと7707枚も撮影することができるようです。普段RAWで使用していると麻痺してしまいますが、いかに贅沢な使い方をしているのかと再認識してしまいました。最初はその7707という数字が残り撮影枚数だとはすぐに分からなかったくらいです。最高画質にしても3500毎以上も撮れるので、そのまま何年も使えてしまいそうですね。

ちなみにこのI-10にはアクセサリーとしてこれまたレトロなカメラケースのO-CC102というものが発売されていて、こちらも人気のようです。ポケットに入れておくつもりだったので私は購入しませんでしたが、特に女性ならこのケースに入れて首から下げていたらやはり可愛いかもしれません。私のようなオッサンには似合わないこと請け合いですけどね。