Gulliver's Travelsこんなガリバーは嫌だ!?

飛行機の旅の問題点は、トイレに行く時にちょっと歩くくらいで、窮屈な座席からほとんど動くことができないという点です。そんな苦痛を少しでも紛らせようということで映画や音楽といった機内エンターテイメントが以前から提供されていて、最近では各座席に液晶画面をつけて映画は多数の作品の中からオンデマンドで見られるようにしたり、ゲームが出来るようになったりしています。しかし残念なことにデトロイトに行くために乗るデルタ航空の機内設備は少々古く、今年予定されている改装までは旧来のプロジェクタ画面なので、快適とは言いがたいものです。そのため私はそんなものを見るくらいなら少しでも時差ボケを緩和するために寝る方を選んでいます。

ただ、今回はたまたま目が覚めた時に見た画面にJack Blackが映っていて、「Jack Blackの最近の作品といえば…」としばらく眺めていたら、日本では今週末公開予定の「ガリバー旅行記」のようだったのでそのまま観はじめてしまいました。予告を観たときにちょっと気になっていたものの、劇場で観るほどではないなと思っていたのでちょうど良かったのです。

この作品はかの有名なJonathan Swift作「ガリバー旅行記」が原作になっているものですが、その内容はかなり現代的にアレンジが加えられたものになっています。実際に私は原作をちゃんと読んだことがなく、物語の全容を知っているとは到底言えず、遭難したガリバーが小人の国リリパットに打ち上げられる、ということくらいしか知りませんが、誰もが知っている物語でありながら実は多くの人が同様なのではないでしょうか。それであれば原作との比較はあまり意味のあるものではなく、独立した作品として面白ければそれでいいと言えるかもしれません。
Gulliver's Travels
一部ミュージカル仕立てのところもあって、Princeの”Kiss“やEdwin Starrの”War“が引用されているのは音楽好きにとっては楽しいところかもしれません。といっても実は私は”War”のFrankie Goes to Hollywoodによるカバーの方しか知らなかったのですが… また吹き替えで観てしまったので歌詞も日本語訳されていて微妙でしたが、歌詞がわからないと話が通じないのでそれもまた致し方ないことでしょう。

後半にはトランスフォーマー的に派手に変身する変なロボットが登場して異様な強さを見せますが、このあたりはさすがに原作と大きくかけ離れているはずですね。ちょっと色々盛り込みすぎてまとまりがないような気もするのですが、それでも楽しく観ることができてしまうのは主演のJack Blackのおかげかも知れません。彼の姿は多くの作品で見ることができますが、コメディでなくてもユーモアを感じさせる演技は作品に温かみを感じさせているのではないでしょうか。まあこの作品はやはりコメディですから、Jackの魅力全開といったところです。上映時間が短くコンパクトなこの作品はちょっと気楽に楽しみたいというときにはうってつけと言えるでしょう。

ということで今日はこれから帰国するのですが、帰りのフライトではどんな作品を観ることができるのか楽しみなような、あるいはゆっくり眠れることを祈りたいような、微妙なところです。