Delta Air Linesこれも体験してみないと分からないこと。

私は仕事柄、海外出張となると行き先はほとんどデトロイトになってしまうので、利用する航空会社もこのデトロイトをハブ空港としているデルタ航空ということになります。デルタといえば低運賃で知られる航空会社ですが、安いのは悪いことではないにしても出張の場合は会社の負担が減るだけで直接的に私に取っては特にいいこともなく、逆に安い分機内サービスが他社に比べて大きく見劣りするのが辛いところです。デルタ航空では現在機内設備の刷新中で、太平洋路線のB747-400についてもこの夏から順次改良されるということなので大いに期待しているのですが、いまどき機内エンターテイメントが前方スクリーンの映画と音楽のみというのはかなりプアな印象が否めず、長時間となるフライトの疲れが一層増すようにすら思えてしまいます。

そんなデルタ航空を利用して今年に入ってからすでに日米間を2往復したため、デルタ航空のマイレージプログラム「スカイマイル」におけるマイレージ会員のランクが一つ上がり「シルバーメダリオン」となりました。以前にも一度シルバーになったことがあったのですが、その後1年間一度も利用しないままランクが下がってしまったため、今回は特典を利用する初めての機会となりました。

とはいえシルバーではあまり大した特典はなく、国際線で使えるのは優先搭乗くらいでしょうか。先に乗ったからといって良いのは機内持ち込み荷物のしまい場所が確保できるくらいのことですが、行列につかずにさっと乗れるのは気分的にちょっと楽ですね。エコノミークラスでも割引率の低い(=価格の高い)チケットを購入していればビジネスクラスなど上のクラスへのアップグレードもあるようですが、私の会社が買ってくれるチケットでそれは望めないようです。

しかし国内線になると条件がちょっと異なり、今回は私のチケットでもファーストクラスにアップグレードされました。国内線のファーストクラスなのでサービスもたかが知れているとはいえ、人生初のファーストクラスということでちょっと楽しみにして空港に向かったのですが、乗るのがファーストクラスというだけでチェックインカウンターからすでに対応が違いました。カウンターが優先チェックイン用となるのは分かっていたのですが、搭乗券を渡す際に係員がわざわざ名乗り、「今回は当社便をご利用いただき大変嬉しく思います。」というようなことを言うではありませんか。アメリカ白人の口からこんなへりくだった言葉を聞いたのは始めてだったので、やはり階級社会なのだということを思い知る瞬間でした。

座席についてみても残念ながら国際線のようにパーティションで区切られているとか180度リクライニングなどということはなく、単に前後と左右の幅が広いだけのことで背もたれも大して倒れないのですが、それでも空間に余裕があるだけで心身の疲れが違うのではないかと思います。そのおかげか私はついうつらうつらしてしまい、機内サービスを100%味わうことができたのかどうか分からないのですが、離陸前の飲み物の提供と、離陸後も飲み物がグラスで提供されたり、スナック類や果物が選べたりということがあり、何も無いエコノミーとは差別化されているのがわかりました。

しかしここでも大きく違うのはキャビンアテンダントの接客態度で、内心どう思っているのかは分からないにしても丁寧さが感じられましたが、実はそれもエコノミーの接客が酷すぎるだけなのではないかという気がしないでもありません。日本の航空会社、というより日本人としては当たり前の丁寧さが航空会社に限らずアメリカの接客には欠けていますからね。外国人が日本にやってきてもてなしに感動するというのもよく分かります。いくら欧米化が進んでも、特別料金なしでファーストクラスのおもてなしという、ここだけは最後の最後まで守ってもらいたいところです。

もうひとつ、ファーストクラスの最後の特典は預け入れ手荷物が最初に出てくるということです。いつもまだかまだかと待たされるものですが、今回は3個目に出てきて、ファーストクラスの威力を思い知りました。しかし、私はこれを素直に喜べないのですよね。単に他の人を待たせて先に出しているだけで、通常のサービスレベルは逆に下がっているわけです。今回もアップグレードされていなかったとすれば待たされる側に回っていたわけで、こういう形の差別はあまり気分のよいものではありません。こういう感覚は優遇に慣れていない人のものなのかもしれませんが、人間としては忘れたくないものです。