Dredd同じようにコミックを原作としていてもこうも違うか。

日本にいる間は毎月一度は映画を観ていた私ですが、アメリカに来てからはさすがになかなかそういうわけにはいきません。休日に家族を家に置いて出掛けるのも若干問題がありますし、深夜の上映はやはりちょっと怖いです。実際に映画館で怖い目にあったことは全くありませんが、深夜に真っ暗な中で完全に気を抜けるほど安全というわけでもないでしょう。いかに治安が良いといわれる地域であっても日本とは安全のレベルが違います。

しかし今日は、土曜日で子供達が補習校で授業を受けている間に駐在員夫人どうしの食事会があったので、これはチャンスということで一人映画館へ行くことにしました。本当は先月から公開されている「ボーン・レガシー」を観たいと思っていたのですが、それが9:50から上映されているというので劇場へ向かってみたら開演10分前になっても入口が閉ざされたままなのでおかしいと思ったら実は午後9:50からだった、というオチで観ることができず、結局もう一本観ようと思っていた昨日公開の”Dredd“を午後から観ることにしました。

“Dredd”はイギリスのコミックが原作の映画化作品ですが、その名前からわかるように1995年にSylvester Stallone主演で公開された「ジャッジ・ドレッド」と同シリーズということになります。とはいってもストーリー的な繋がりは一切なく、設定を共有しているという程度のものなので、「ジャッジ・ドレッド」を観たことがなくても特に問題はないでしょう。むしろ先入観がなくてその方がいいかもしれません…

というのは、今作の主演はKarl Urbanという私も多くの作品で見たことのある俳優なのですが、常にかぶっているマスクのせいで鼻先から下しか顔が見えないということもあって、どうもSylvesterが演じているように思えて仕方がないのです。はっきり憶えているわけではありませんが、声や喋り方もSylvesterのDreddとよく似ているような気がするのでなおさらです。まあだからといって問題があるわけではなく、単にKarlが気の毒な気がしてしまうというだけではあるのですが。

舞台となっているのは放射能に汚染された近未来のアメリカ、ボストンからワシントンまでの地域一帯が防護壁に囲まれ、8億人の人口を抱える一つの巨大な都市Mega-City Oneで、ほとんどのシーンはその中にある200階建ての巨大なビルPeach Treesの中です。このビルは南アフリカのポンテシティアパートを連想させますが、ビルそのものが一つの町のようになっており、このビルを仕切る麻薬組織のボスにDreddたちが挑むことになります。Dreddはこの未来の世界でそれぞれが警察官、裁判官、陪審員、死刑執行人を兼ねる法の執行者「ジャッジ」の一人で、今回は新米ジャッジのAndersonのテストを兼ねての任務です。

Andersonを演じるのはOlivia Thirlbyという人です。このAndersonというのが人の考えが読めるという超能力者なのですが、その能力が発揮しにくいということでヘルメットをかぶらずにいるので、その美しさを見ることができます。他のものが何もかも濁った世界なので、ちょっと異質に感じられるくらいです。麻薬組織のボスMa-MaことMadeline MadrigalはTerminator: The Sarah Connor ChroniclesでSarah Connorを演じていたLena Headeyが演じていますが、本当は綺麗な人なのに、顔の大きな傷のせいもあってかなりの迫力で恐ろしいです。

映像で面白かったのは麻薬”Slo-Mo”服用時の描写です。服用すると時間の進み方が100倍の遅さに感じられるということでこの名前なのでしょうが、それを超スローモーションに幻想的なBGMを被せることで独特な効果を持たせているようです。なお今回私は通常版で観ましたが、この作品は3D版も上映されていて、3Dではさらに面白く感じられるシーンなのかもしれません。

ということでなかなか個性的な作品で面白かったのですが、R指定なのである程度予想はできたものの、バイオレンス描写がきついのでそれが苦手な人にはお勧めしにくいものとなっています。私もなにしろ血が苦手なので途中で「早く終わってくれないかな」などと思ってしまいました。それ以外は脳天気なアメコミとは全く違って深みがあるような気がするんですけどね…