10年後に観たらどう感じるか…
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先週の金曜日は世間では一般的でない文化の日の代休ということで私の勤務先は休みで、その前日は週末扱いで残業禁止日だったのですが、それがちょうど11月1日だったので毎月1日の映画の日だったのでした。8月までは何本も観たい映画の公開が続いていたのに9月に入ってからパッタリと無くなってしまい、2ヶ月ほど映画館から遠ざかってしまっていたのですが、11月からは怒涛のラッシュが続いていて、その先頭として1日には「search/サーチ」を観ることにしました。

この作品が注目されているのは、アジア(韓国)系アメリカ人のJohn Choが主役であるということです。JohnはJ. J. Abramsの「スター・トレック」シリーズでHikaru Suluを演じていてアジア系俳優の中ではかなり存在感がありますが、それでもアメリカ映画はやはり白人中心のものなので、そんな状況でこの作品が高く評価されたという面はあります。

もう一つの特徴はこの作品の映像がすべてPCの画面の中で描かれているという点です。俳優が演じる場面もFaceTimeのビデオ通話だったり、ウェブのニュースサイトの動画だったり、あるいはネットワークカメラの映像だったりと非常に凝ったものになっています。また、iMessageのテキストで会話が進む場面などもあり、現代人には馴染みのある様々なツールが使いこなされています。

使われているPCも最初はWindows XPだったのが今はMacになっていて、FaceTimeやiMessageが使われることになっているのですが、このあたりはSkypeでもいいのかもしれませんがApple製品でないときれいに描けないところだったりするのかもしれません。しかし使われているブラウザはChromeでした。これらの他にも、GoogleFacebookTwitterInstagramなど実在のサービスがそのまま使われているのがまたリアリティがあってよいのではないかと思います。多くの場合何らかの影響を考慮してかよく似た架空のサービスを作って使用されるのではないかと思いますが、それではいかにも作り話のように感じられてしまうものです。ここで実在のものが使われることで、現実との境目が曖昧になってくるのではないでしょうか。

ストーリーの方は観てのお楽しみということにしておいた方が良いと思うので語りませんが、普段インターネットに接する機会の多い人、時間の長い人ほど楽しめるような気がします。私はJohn演じるDavidがうまいことネットを使いこなしているな、と感心してしまって、それも面白かったところです。ただ心配なのは現代のインターネット事情を背景にしているため、陳腐化してしまうのも早いのではないかということですね。したがって、観るなら今のうちに観ておくべきでしょう。