色も変えて気分一新。
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二昔前までは一家に一つ以上、魔法瓶というものがあったと思います。ガスなどを使ってやかんで湯を沸かし、それを保温して置いておくための間が真空になった二重構造のガラス瓶です。それがいつの間にか、一昔前に電気で湯を沸かし保温しておく電気ポットが一般的になりましたが、これは火を使う必要がなく、湯を移す必要もなくなり便利にはなったものの、常に電熱で保温しておくものが多かったので電力的なロスが大きいのが問題でした。そしてその後、それなら使うときに使う分だけ沸かせばいいじゃないか、というシンプルな発想で作られた電気ケトルが普及し、現在に至るというわけです。

我が家でもしばらく電気ケトルの代名詞であるT-falの製品を使っていたのですが、この度また同社の「アプレシア プラス」という製品に買い換えることになりました。

これまでは同じくT-falの「ニューヴィテス プラス ステンレス 1L」という製品を使っていて、ステンレス製のボディでちょっとした高級感があるだけでなく耐久性も高そうで気に入っていたのですが、最近どうも水漏れがしているなあと思っていたら、樹脂製の水量の目盛窓がひび割れしてしまっていたのでした。樹脂製品にはどうしても経年劣化がつきものなのでどうしようもないのですが、購入したのが2009年11月だったのでほぼ10年、うち4年近くは私達がアメリカにいる間日本のトランクルームに眠っていたため、実際に使用したのは6年ちょっとだと思うと、思ったほど長持ちはしなかったようでとても残念です。本当は樹脂ではなくガラスを使用してくれていればまだまだ問題なく使えていたでしょうが、実はハンドル部分の樹脂も加水分解によりベタベタしていたので、買い替えのいいきっかけになったとも言えます。

使ってみて、というより持っただけでわかるのは圧倒的に軽いということです。これまでのニューヴィテス プラスは1355gもあったのですが、アプレシア プラスはわずか750gしかありません。しかもこれは電源プレートやケーブルを含んだものなので、ケトル部分のみだと差はもっと広がります。もちろんこれは言葉の綾で、実際には変わるのは差ではなく倍率ですが、水を入れようと持ち上げたときに勢い余って振り上げてしまうほどでした。

定格電力は若干下がっているので湯沸かしの能力も下がって時間がかかってしまうかと思いがちですが、ステンレスボディに比べて本体の熱容量が小さいので、実際にはどちらが早く沸かすことができるのかは分かりません。まあ実験してみればわかることとはいえ、ちょっと面倒くさい割にあまり需要もないと思うのでやりませんが、感覚的にわかるほどの差はありません。ただ一つ問題というか気になっているのは、湯沸かしが終わったことをこれまではスイッチが切れる音で認識していたのですが、その音がこの製品では静かになってしまっていてすぐに気づかないということです。いつの間にか止まっている、ということでそれほど困ることはないのですが。

優れている点としては注ぎ口にカバーが付いていてホコリの侵入を防いでくれるということで、台所に置きっぱなしにすることの多い製品としては衛生的に良いことではないでしょうか。注ぎ口の湯切れもまったく問題ありませんが、コーヒーを淹れる際にチョロチョロと注ぐのはカバーが付いたせいもあってちょっと難しくなっています。とはいえ本当にこだわるならコーヒー用のポットを使用するべきですね。

ということで、安い製品でもありそんなに長持ちすることは期待していませんが、この程度の価格のものにして壊れたり汚くなったら買い替えて気分を変えられるくらいのほうが精神衛生上も良いかもしれませんね。