最近ポッドキャストなどを聞いていてどうしても気になってしまう言葉に、「経験値」と「期待値」というものがあります。
「経験値」というのはもともと日本語にはなかった言葉だと思うのですが、経済や統計の用語として「経験から推測される値」という意味で使われることがあったようです。しかしこれはごく一部の人が使っていただけで、広く知られるようになったのはファミコンなどでロールプレイングゲームが普及してからのことでしょう。モンスターなどとの戦闘に勝利したりすると得られるポイントです。
しかしこの言葉を、経済にもゲームにも関係のない文脈で「経験値を積む」「いい経験値になる」というような使い方をする場面があります。これは本来単に「経験」と言うべきところで、その「値」というのは何のことなのかと聞きたくなってしまいます。「経験値」は積むものではなく、稼いだり貯めたりするものでしょう。ゲームのメタファーとして言っているのであれば問題ないのですが、多くの場合はそういうことでもなさそうです。
似たような言葉でもう一つ気になる「期待値」ですが、これは確率論では「確率変数を含む関数の実現値に確率の重みをつけた加重平均」、実験やテストではその結果として得られることが期待される値のことを指すはずです。この言葉をまた関係のない文脈で「それが期待値だ」というような言い方をされると、その「値」は何を指すのかが気になってしまうのです。「経験値」よりはまだニュアンス的にわからなくもないのですが、どうも違和感があります。
細かいことにこだわり過ぎだというのはわかっているのですが、喋ることで勝負しているのであれば言葉の使い方には注意してほしいな、と思ってしまうのです。そういう私もこのブログはろくに推敲できていないせいで誤字脱字誤変換など多々あるので偉そうに言える立場ではないのですが、聞く方の立場としては気になって仕方がないので言わせていただきました。でも経験値や期待値という言葉もこのまま定着していくのでしょうか。