先週末の旅行では茨城空港からレンタカーを利用して移動したのですが、その目的地は隣の栃木県、日光の中心部から直線距離で25kmほど真北の湯西川温泉にある本家伴久という温泉旅館でした。この日は栃木空港に着いたのが2時過ぎで、5時半までにはチェックインしなければならないということだったので、空港からほぼどこにも寄らずギリギリでした。

湯西川温泉には平家の落人伝説があるということで平家の里なる観光施設があったり、冬にはかまくら祭りがあったりとそれなりの観光地ともなっているのかもしれませんが、私は全然そんなことは知らず、この伴久さんがとても魅力的に見えたので行ってみたというだけでした。実際に行ってみても結局宿から出たのは早朝のウォーキングだけで、いろいろ予定もあったので観光らしいことは何もしませんでした。

本家伴久は1666年創業と350年を超える歴史を持つ老舗旅館とのことです。もちろん創業当時から残っているようなものはほとんどないのでしょうが、建物自体も歴史を感じさせつつも複雑でおもしろい作りになっていました。建物内の部屋の入口や、部屋の中の床の間の上にさえ茅葺きの軒が出ていたりして、土壁や白樺の柱などと合わせて独特な雰囲気のある内装でした。

また夕食会場はかずら橋を渡って行った離れにあるということも一つの売りになっていますが、この離れも茅葺き屋根の特徴的な作りです。また囲炉裏料理であるということが最大の楽しみだったのですが、テーブルが囲炉裏を挟んで向かい合って配置されていて、炭火の暖かさを感じながらいただくことができました。「一升べら」というつくねをへらに付けて焼いたようなものや、団子、鹿ねぎ串、岩魚の塩焼きなどを熱々の状態で食べられるのが美味しく、そして何より楽しく、家族も大喜びでした。

やはり欧米系の外国人も数組いたようですが、日本人にとってもタイムスリップしたようなアミューズメント感のある体験だったのですから、日本の文化自体に馴染みのない人にとっては異次元空間のようで得難い経験になるのではないでしょうか。もちろん旅館としてのホスピタリティも素晴らしく、とても気持ちよく過ごすことができたので、ぜひまた違う季節に訪れてみたいと思っています。