NEXCO東日本NEXCO中日本NEXCO西日本の高速道路3社が共同で、昨年末12月25日に「高速道路の深夜割引見直し時期の延期について」(PDF)というプレスリリースを公表しました。

私はこの時、そもそも「高速道路の深夜割引見直し」というのが何のことなのかわからなかったのですが、現行制度では割引対象の深夜12時から午前4時までの時間帯に少しでも走行していれば全区間について3割引が適用されていました。しかしこの制度では、目的地直前のサービスエリアなどで深夜12時を待つために滞留する車両が問題となっているとのことです。これを改め、割引対象の時間帯に走行した区間の料金だけを割り引くことにして、問題を解消しようというのが見直しの意図のようで、見直しの内容は全国商工事業協同組合連合会のページで非常に詳しく解説されているので、もっとよく理解したい方は参考にしていただければと思います。

そして今回の発表はこの見直しの時期を予定していた今年度末から7月頃に3ヶ月程度延期するというものですが、これはどうもシステムの改修が予想以上に大規模なものになったためのようです。もともと、現行の制度では入口と出口の通過時刻さえわかれば割引の対象かどうかだけでなく、割引後の料金も即座に計算できました。しかし、新制度では割引対象と非対象の時間帯をまたいで走行する場合には、時間帯の切り替わり時点でどこを走行していたかという情報が必要になり、それはこれまで記録されていなかったものです。

このため、新制度に対応するために50kmごとにETCの通信アンテナを設置して、通過記録を取ることにしたそうですが、これは非常に大規模なものになります。また、このアンテナ間の平均速度から位置を補間する計算までするとのことで、そこまでする必要があるのかと思わずにいられません。もっと効率的な方法はないものなのでしょうか。

そもそも、民主党が掲げていた高速道路無料化などすっかりどこかへ行ってしまいましたが、物流コストの上昇も言われる今こそ再検討しても良いのではないかと思えてきます。こんな無理やりな割引制度のためにコストを掛ける必要もなく、全国の料金所も撤廃できて、人手不足の緩和にもなりそうなものですが、トラック以外の運送業界からの反発が大きいので、やはりありえないのでしょうね。