今年からの試みとして開催された野球の国別対抗で世界一を決めるというWorld Baseball Classicの決勝戦が終わり、見事王監督率いる日本代表チームが優勝を手にしました。未だ破られていない本塁打数世界記録を持つ王貞治氏が監督としても世界一に輝いたということは素晴らしいことです。
しかし、この大会では色々な問題がありました。まず、松井秀喜を始めメジャーリーグで活躍する選手の多くが参加を辞退することになり、本当の日本選抜チームではなくなってしまったことからそもそもこの大会の意義と権威が私にはわからなくなってしまいました。また、開幕前にはイチロー選手が「戦った相手が“向こう30年は日本に手は出せないな”という思いになるほどの勝ち方をしたい」と日本のメディアのインタビューに答えたことに韓国では反感を持ったらしく、その後もことあるごとにイチローに批判的な報道がなされたようです。実際、今大会でのイチローの露出度は日本人選手の中で群を抜いており、ちょっと目立ちすぎではないかとは私も感じました。さらに何となく他国に対する優越感や過剰な自信が感じられ、あまりいい感じではなかったようには思います。韓国がらみでは予選で日本に勝ったときに韓国選手がマウンドに国旗を立てたとか、色々あったようです。
また日本でも大きな騒ぎになったのはBob Davidson審判による2つの誤審騒ぎで、テレビでは「単に目立ちたいために特異な判定を下している」というような分析も行われていました。いずれの判定もアメリカに有利なものでしたが、さすがにアメリカ国内での報道でも歓迎はされていないようですね。
こんな調子の今大会でしたが、3年後に予定されているらしい次回大会はうまくいくのでしょうか。MLB主催であるという時点で公平さはあまり期待できませんでしたが、予選の組み合わせが抽選ではなくアメリカに有利なように仕組まれているというようなこともあって、本当の世界一にはほど遠いような気もします。今はシーズン前にMLBが一稼ぎしたいだけのように思えて仕方ありませんので、もっと権威あるものとして盛り上げるためには、公正な運営が行えるような組織を作る必要があるのではないでしょうか。
それにしても今回、野球というのは世界的に見ればごくマイナーなスポーツなのだということを改めて感じてしまいました。この中で優勝して世界一になったからといっても、選手らがあれほど喜ぶのが理解できないくらいです。日本には何十年も前からプロリーグがあって、子供の頃から盛んに行われているのだから優勝して当たり前ではないかという感じなのですが…