DickKirsten Dunstの新作主演映画「マリー・アントワネット」の公開を一週間後の20日に控えてファンの私の期待は高まるばかりなのですが、TSUTAYAで日本では未公開の1999年の主演映画、「キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!」を見付けたので借りて観てみました。

キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!
ジェネオン エンタテインメント (2004/04/02)
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邦題はいくら何でもあんまりなものが付けられてしまっていますが、原題は”Dick”といいます。DickというのはRichardのニックネームなのですが、ここでは第37代アメリカ合衆国大統領Richard Nixonを差していて、そのNixonが辞任する結果となったウォーターゲート事件を題材とした映画となっています。このテーマが日本人の私には実にわかりづらいもので、最初はどこが面白いのかさっぱり分からなくて途中で何度も挫折しかけたのですが、ウォーターゲート事件についてWikipediaでちょっと調べてから観てみると事件にまつわる細かいネタが随所に織り込まれていて、なるほどなあという感じで見ることができました。もちろんストーリー自体はほとんどフィクション、と言うよりもパロディなのですが、未だに全容の明らかになっていない事件の中で伝えられている断片的な事実が上手く取り込まれているようです。

それにしてもウォーターゲート事件が題材というのはマニアックすぎるような気がしてしまうのですが、日本で言うロッキード事件のようなものとは違うのでしょうか。この映画自体はせいぜい中高校生向けだと思うのですが、アメリカの少年少女にとってはポピュラーな歴史上の出来事なのでしょうか。アメリカは建国後の歴史が浅い分、密度の高い授業が行われているのかもしれませんし、あるいは日本で言うと本能寺の変辺りに相当するような大事件として扱われているのかもしれません。

ということで、Kirsten Dunst演じるBetsy Jobsと、その近所のWatergate buildingに住むMichelle Williamsが演じるArlene Lorenzoという15歳の仲良し二人組がふとしたことから大統領の飼い犬の散歩役を命じられ、ウォーターゲート事件に絡んでいくというものになっています。そもそもこの成り行き自体にかなり無理があるように感じるのですが、それは目を瞑って観ていたとしても、この二人組のお馬鹿さ加減には見ている方が疲れてしまいます。ただ、事件の起こった1970年代のファッションや流行、世相が再現されているので、それを見ているのはなかなか面白いのではないかと思います。また、Nixon役はDan Hedayaが演じていますが、この人が大統領になりきって、写真などで残っている実際のNixonのポーズなどを再現しているのも見所なのでしょうか。

しかし、事件から20年以上経ってからこういう映画が製作されるというのはやはり私には理解できません。どう考えても日本では売れるはずもないのでさすがに劇場公開は見送られているのですが、DVD化されてTSUTAYAに置かれているというだけでも凄いことのように思えてきてしまいました。これは邦題にも冠されているように、Kirstenの主演だから、というほとんどそれだけなのではないでしょうか。ウォーターゲート事件を知っている人が見ればそこそこ面白いかもしれませんが、知らずに観てしまうと本当に救いようのない作品ではないかと思います。