殺人事件なのになぜ「疑惑」と呼ばれるのか今でも疑問です。
今から30年近く前の1981年に起こったということで、事件を知っている人は皆「どうして今さら」と感じたに違いないのですが、いわゆる「ロス疑惑」の主人公である三浦和義氏が訪問先のサイパンで現地警察に身柄を拘束され、近くロサンゼルスに移送される予定となっています。
そもそもロス疑惑とは何なのか、事件当時は私も小学生だったのでそれほどよくわかってはいませんが、母がよく購読していた週刊文春が事件取材の中心となっていたため、ずいぶんしつこく追いかけていたということはよく覚えています。簡単に言えば当時の三浦氏の妻、一美さんが何者かに銃撃を受けてその後死亡し、それにより三浦氏が1億5500万円という多額の保険金を受け取ったことから三浦氏による謀殺が疑われた、ということです。これだけならたまにある保険金殺人とそれほど変わりはないような気もするのですが、マスコミに大々的に取り上げられることになったのは三浦氏が事件直後に悲劇の主人公を演じてしまったことが原因なのではないかと思われます。
その後三浦氏は逮捕・起訴されたものの日本国内では銃撃事件については無罪が確定しており、その4ヶ月前の殴打事件のみ殺人未遂で懲役6年の有罪判決を受けて確定しているそうです。ただ、銃撃は証拠不十分で無罪とはいってもその直前の殴打事件で殺人未遂となっているわけですから、それで「潔白」と言われてもちょっと信じがたいというのが素直な感想ではないでしょうか。まあ、真実かどうかは別としても法律上はそういう判断が下ったわけです。
しかし、事件の現場となったカリフォルニア州の法律では殺人罪には時効がないということらしく、これまでも捜査が続けられてきて27年後の今になって逮捕ということになったようです。サイパンに遊びに行ってみたら大昔の事件で今更逮捕されるとは本人も思っていなかったでしょうから、さぞ驚いたことでしょう…なんて言っていられる程度ではありませんね。まあ、日本の法律でも海外にいる間は時効のカウントが止まりますので、海外に逃亡していた容疑者が何十年ぶりにでも戻ってくれば逮捕されることになるでしょう。
最近はサンデージャポンなどバラエティ系のテレビ番組にも度々出演するなどしていて、どうしてこう堂々とテレビに出てこられるのかと不思議でならなかったのですが、今回の逮捕を機にマスコミの取り上げ方はいったいどのように変わるのでしょうか。正直なところそんな昔の事件をほじくり返されても誰の得にもならないような気がするのですが、そうは言っても被害者の一美さんのためには真相が解明されることが重要です。しかし今となっては証人もほとんどいないでしょうし、裁判が成立するのか甚だ疑問ですが、逮捕したからには曖昧に終わらせず幕引きはしっかりとしてもらいたいところです。