地デジそんなお金は一体どこから…

現在のテレビの地上波アナログ放送は3年後の2011年7月に停波する予定になっていますが、「まだ3年もある」というようにまだまだ先のこととしか思えないのは私だけでないのか、総務省などは周知に四苦八苦しているようです。そんな中、昨日の朝日新聞朝刊一面に「地デジ受信機支給へ 生活保護107万世帯に」という記事が掲載されていました。

さすがに最近売られているテレビはほとんどデジタル放送に対応したものになっているのでしょうが、そもそもデジタル放送に移行する必然性が視聴者にはわかりにくく、現在何の問題もなく見ることのできているテレビがある日突然ただの箱になってしまうというのは承伏しがたいものがあります。ことに生活保護を受けているような方々はおいそれとテレビを買い換えるということもできないでしょうから、確かにチューナーを無料支給するというのは理に適っているようにも見えます。

しかし、そうまでしてアナログ放送は止めなければならないものなのでしょうか。チューナー配布のために必要な資金はチューナーの代金だけでも安くて50億円と見積もられているようですが、その原資は一体どこにあるのでしょうか。本来なら放送事業者か、デジタル化によって空いた周波数帯を利用することになっている携帯電話事業者が負担すべきものと思えますが、今の議論では税金で負担することしか考えられていないように見えます。

また記事では

テレビ放送は生活に必要な情報を提供しており、地デジへの完全移行までに必要な対策を講じなければ、日常生活に支障を来す恐れもあった。

とされていますが、本当にテレビが見られないからといって「日常生活に支障を来す」ようなものなのでしょうか。まあ私自身がテレビをほとんど見ていないといってもそれはインターネットで情報を得ているからなので同じようには考えられないのですが、テレビで得られる情報で「生活に必要なもの」などあるのでしょうか。せいぜい災害情報くらいのものかと思いますが、それならラジオでも十分ではないでしょうか。

気になるのはこの他、特定の企業・業界を潤わせることになるのではないかということもあります。現在市販されているチューナーが2万円程度なので、それをベースに「5000円程度の簡易版を作れ」と言っているようですが、今のチューナーが割高なのは売れていないからです。量産効果というものがありますので、これが100万台以上売れるということになればそんな値段を付ける必要はなくなり、今の仕様のままでも半額程度までは下がるのではないでしょうか。ただ、それ以上値段を下げるためにはB-CASという邪魔者を何とかしなければなりません。そもそもはBS放送の限定受信のために作られたものがいつの間にか地上波放送にも流用されていて、色々な面で厄介なものとなっています。根拠は全くありませんが、B-CASさえなければチューナーなんて2~3千円でできるのではないのでしょうか。

ということで、疑問だらけのこの問題なのですが、なんだかんだでなし崩し的に実行に移されてしまうのでしょう。生活保護を受けている人というのは文字通り保護すべき人たちで、有意義なものなら惜しみなく税金も使うべきだと思うのですが、このチューナーの必要性にはかなり疑問がありますし、不正受給の報道を度々見るにつけ、生活保護の基準にも見直しが必要なのではないかと思われます。かといって私たちが政治に関与する手段である「投票」だけではコントロールしにくいのですよね…