CHANGE本当にアメリカは変わるのでしょうか?

現地時間の11月4日、アメリカでは4年に一度の大統領選挙の投票が行われ、民主党Barack Obama候補が共和党John McCain候補を破って第44代合衆国大統領に当選しました。投開票前は接戦が予想され、ブラッドリー効果もあるのでどちらが勝つかは蓋を開けてみるまではわからないと言われていたにも関わらず、実際には倍以上の得票差での圧勝ということになってしまいました。

Obama氏はアメリカ史上初の黒人の大統領ということでも大変な注目を浴びていて、人種差別主義者らによる暗殺なども考慮せねばならないということで、まだ「候補者」という身分である時点でも現大統領の5倍ともいわれる警護が付けられるなど、ピリピリしたものもあるようです。人種のるつぼと呼ばれ、アングロ・サクソンとアフリカ系だけでなく、イスラム系、アジア系、インド系、ヒスパニックと様々な人種の人々が暮らしているにも関わらず、未だ白人優越主義者らがのさばっているというのは格差社会であるということであり、アメリカの陰の部分であるのは間違いないでしょう。

しかし、Barack Obama氏は「黒人」とはいっても父親はケニア人、母親はカンザス州出身の白人ということであり、純粋な黒人でもなければ奴隷としてアメリカに連れてこられた人の子孫でもありません。血としては黒人であるのと全く同程度に白人であるにも関わらず、肌の色や髪の質など見た目だけで「黒人」と分類されてしまうこと自体が差別的であるように思えてしまいますがいかがでしょうか。

私自身は「区別」と「差別」は別のものであり、例えば男女は体格や成長過程なども異なるのだから区別は必要だと思っていますが、そこに優劣の概念はありません。しかし、ファッションなど外見に関わるものを除けば白人と黒人とを区別する必要はないはずで、あるとすれば主観に基づく差別に他ならないでしょう。もちろん生活環境の違いによる教育レベルや知的能力の差というものはあるかもしれませんが、それは本質的に人種とは無関係なもので、単に白人が支配階級にいて、黒人は貧困層に甘んじていることが多いからに過ぎません。

まあそれはともかく、Obama氏には47歳という若さもあり、スローガンとして”CHANGE”を掲げるだけありますので、アメリカに変革をもたらすことは間違いないでしょう。やや懸念されるのはわずか4年に過ぎないという合衆国議会での経験の浅さですが、そこは逆に新しい視点での政策運営という武器に変えてもらえるかもしれません。日本にとっては共和党政権の方が親日的で付き合いやすかったはずですが、Obama政権は日本に対してどう接してくるものか興味深いところです。

それにしても10年ほど前に弁護士から州議会議員となったばかりの人が大統領になってしまうとは、アメリカという国は一体どうなっているのでしょうか。派閥の力関係と年功序列と血縁関係とで政治的地位の決まる日本ではとても考えられないことですが…