Panasonic + Sanyo1+1は3になるのか1.5になるのか。

先週末の日経新聞ですっぱ抜かれてしまっていたため既にニュースでもなんでもなくなってしまったような気がしますが、パナソニック三洋電機の過半数の株式を取得する形で子会社化することを前提に協議を進めるということが、今日正式に発表されました。これにより、売上高が11兆円にも上る国内最大の電機メーカーが誕生するということです。

三洋電機は新潟県中越地震で半導体工場が被災し大きな被害を受け、地震保険に加入していなかったことからそれがそのまま業績の悪化に繋がってしまったというかなり不幸な成り行きのようです。しかしその製品が直接消費者の目に触れるところでは冴えないようでも実は高い技術力を持つ企業であり、二次電池や太陽電池では高いシェアを占めていたり、「デジカメ」の商標を持っていることは有名な話ですがそのデジタルカメラのOEM供給元としては世界のトップシェアを誇っているそうです。

パナソニックが三洋の何を求めているかといえばやはり一番は二次電池の技術でしょう。パナソニックも二次電池の開発には力を注いでいるはずですが三洋には及ばないようで、例えば俗に「パナループ」と呼ばれているeneloopに対抗した緑色のニッケル水素電池も実力的にはあと一歩といったところだそうです。私はどうも二番煎じ的で好きになれない、というよりパナソニックが好きでないので使ったことがなく、自分で比べてみたわけではないのですが。

もともとパナソニックと三洋電機というのは創業者同士が義兄弟というか、松下から暖簾分けのようにして生まれたのが三洋なので、元の鞘に収まったのだとも言われています。しかしこの2社は競合する製品分野が広く、三洋の従業員にとっては果たして喜ぶべきものなのかと私は疑問に感じています。「売上高が11兆円」などと言っているのは単純に2社の分を合計しただけのものですから、仮に初年度はその通りになったとしても、そのまま何の合理化も行わないというのではパナソニック側の利益が流出するだけになってしまいますので、そんなことはあり得ません。当然パナソニックにとって不要な事業は整理されていくことになってしまうでしょう。

我が家にある三洋製品はeneloopの他は食器洗浄機と2代続けての携帯電話くらいかと思いますが、これらの製品はいずれも他社品には代えがたいものを持っているので、こうした技術的に光るものをそのまま失わずにいて欲しいと思います。当面は三洋ブランドを残す方向で話が進められているようですが、ブランドそのものよりも中で働く人とその技術力をしっかり守っていってもらいたいものです。