もうちょっと考えた方が…
海外に3ヶ月以上滞在する日本人は管轄する大使館・総領事館に「在留届」というものを提出することが義務付けられています。この情報は大災害の際の安否確認などに利用されるのですが、今はこの提出も非常に簡単にウェブサイトで行うことができるようになっており、また特別な証明なども一切不要なので特に煩わしいものではありません。ミシガン州は在デトロイト総領事館の管轄ですが、わざわざ窓口まで行かなければならないとなるとかなり億劫なものですから助かります。
他の領事館ではどうなのかわかりませんが、デトロイトの領事館ではこの在留届を提出する際にメールアドレスを登録しておくと、定期的に安全情報や領事館の関係する行事の情報などの連絡がメールで届くようになります。私も普段はこのメールは流し読みして終わりなのですが、今日届いたメールにはちょっと気になるニュースが載っていました。そのまま引用すると次のとおりです。
1.パトカーの停止命令に気付かず走行を続けて大事件に!(ユタ州・日本人が当事者)
23日未明、ユタ州のフリーウェイで、レンタカーを運転していた子連れ日本人旅行者が、警察の停止命令に気付かず運転を続けたためにカーチェイスとなり、身柄を拘束される事案が発生しました。運転していた日本人女性は、米国の交通法規を知らず、停止合図と気付かずに運転を続けていたということです。当地では、警察車両が自車のすぐ後ろにぴったりとつけて赤青色のライトを点灯したら、停止を求める合図です。周囲の交通状況に配慮しつつ、すみやかに減速して路側に停止し、警察官が車両に近づいてくるまで車内で待機して、警察官の指示に従ってください。
Reutersは”Confused Japanese tourists led Utah police on high-speed chase“という記事でこのニュースを伝えていますが、その他の情報も総合すると事件が起こったのは土曜日の午前1時、7歳の子供を連れたこの旅行者一家は金曜日にカリフォルニア州でレンタカーを借りて、ユタ州のブライスキャニオンへ向かって運転していたところで、制限速度よりもかなり遅いスピードでふらつきながら走っていたため、飲酒運転を疑った警察官が止めようとサイレンと赤青のライトを点けて背後に付いたとのことです。しかし、それが止まれという合図だとは分からずに加速してしまったため、逃げたと見なされて高速カーチェイスとなってしまったそうです。結局タイヤをパンクさせられてようやく止まったものの、運転していた母親は泣いていて両親共に怯えてしまい、英語が通じないようだということでユタ州内から日本語のわかる警察官を探しだして電話口で対応してもらい、ようやく話が通じたとのことです。
この旅行者に対する突っ込みどころはいくつもあります。なぜそんな深夜に走ろうと思ったのか、なぜブライスキャニオンに行くのに800km近くも離れたカリフォルニアから入ったのか(州境からなら500kmほどですが、おそらくロサンゼルスでしょう)、どうして緊急走行中の車両がいたら止まらなければいけないという基本的なルールも知らずに運転しているのか、そもそもまったく英語のわからないような状態で単独で子供を連れて旅行するのは無謀ではないか…しかも日本の運転免許も所持していなかったとのことです。これはちょっと緩み過ぎ、冒険が過ぎるのではないでしょうか。20代などであれば若気の至りということもあるかもしれませんが、40過ぎとのことで私とほぼ同年代、ゆとり世代というわけでもありません。
一方、記事には「サイレンとライトは万国共通ではないのか」という巡査のコメントがありますが、実際日本では緊急自動車に道を譲らない人が多すぎますよね。ただ日本の場合は警察が車を止める時は前に回り込みますが、アメリカでは必ず後ろに付きます。これは知らないと対応に困るかもしれませんし、ライトにすぐに気付けるかどうか、実は私も自信がありません。まあそんな深夜であればライトも目立つでしょうし、この人も気づかなかったというわけではないようです。
結局この人達は近所のホテルに連れて行かれて、大騒ぎを引き起こしたにも関わらず特に処罰はなく、その後の旅の安全を祈られてすんだそうです。とはいってもこれだけのことがあっては楽しい旅を続けるのは難しいでしょうね。貴重な経験にはなったと思いますが。