Apollo 11Space: The final frontier

今日は46年ぶりに日本で皆既日食が観られるということでテレビなどでも大きく取り上げられ、日食観測用具が飛ぶように売れたり、高額の観測ツアーが人気を博したりしていたようですが、当日蓋を開けてみればあいにくの空模様、最も観測に適していたはずのトカラ列島悪石島には多くのツアー客がテントを張って待機していたのに、肝心の食の最中に暴風雨に見舞われて散々だったようです。私の住む辺りも曇り空となっていたのですが、それが逆にちょうどいいフィルターとなったようで、妻によると肉眼でも観測することができたとのことです。私は残念ながら仕事をしていて観ることができなかったのですが、あとでYouTubeNHKチャンネルなどを見ていると「実験場に行くふりをしてでも観ておけば良かった」と軽く後悔しています。

この皆既日食のおかげでにわか天文ファンが急増していることではないかと思いますが、ちょうど40年前の今も世界中の視線は宇宙に釘付けでした。それは1969年7月20日に月面に人類初の一歩を踏み出したアポロ11号のニュースで、この時私は生まれていなかったというのが残念でなりません。その非日常的な興奮に匹敵するものが今の世の中にあるでしょうか。

そのおよそ10年後、日本では宇宙科学博覧会(宇宙博)というものが13号地と呼ばれていた今のお台場あたりで開催されていたのですが、学校を休んで両親に連れて行ってもらったことを今でも鮮明に覚えています。平日だったのでがらんとした会場内にはいくつもの巨大なロケットの実物が展示され、各パビリオンでは人工衛星や探査機が展示されていたり、アポロの月面着陸の場面が再現されたりと科学少年には夢のようなイベントでした。当時はまだ冷戦真っ只中だったので東側の展示は一切なかったわけですが、それでも十分な展示物があるほど当時の宇宙開発は盛り上がっていたのです。この時買ってもらったカタログをしばらくの間食い入るように見ていたものですが、今長男が買った本を真剣に見ている様子はきっとそれにそっくりです。

そんな私的な思い出話はともかく、先日情報を漁っている中で「これは!」という本を見つけてしまいました。自動車のオーナー向けの整備マニュアルを出版しているHaynesの “Apollo 11” です。私はかつてVW Golfに乗っていたときなどはこのHaynesのマニュアルを片手にごく簡単な整備などをしていたものですが、実際に手を動かさずともその解説などを見ているだけでもメカ好きには楽しいものでした。そのシリーズでアポロの月着陸船などのオーナーズマニュアルとはいったいどんなものなのか、考えただけでも楽しくなってしまい、ほとんど迷うまもなく注文してしまいました。

Nasa Apollo 11 Manual: 1969 (Including Saturn V, Cm-107, Sm-107, Lm-5)
著:Christopher Riley , 他
Haynes Pubns (2009/11)
ISBN/ASIN:1844256839

しかし、実は日本のAmazon.co.jpではまだ取り扱いが始まっておらず、11月以降の配達の予約受付中ということになっています。それではイギリスのAmazon.co.ukではどうだろうかと見てみると即日発送となっており、価格は送料を加えても日本の価格とほぼ同じ£12.59ということなのでこちらで注文することにしました。円高万歳といったところですが、今ではさらに安くなって£9.89になっているようなので、こうなると明らかにこちらの方が安いと言えます。

ということで届いたこの本ですが、さすがに中身はオーナーズマニュアルというようなものではなく、アポロ11号の月面着陸ミッションに関わる様々な内容を図解したようなものでした。しかし、だからといって期待外れだったというわけではなく、200ページ近いこの本にはアポロの実験段階の内容や司令船と着陸船の操作パネル、燃料系統や居住空間などが図や写真をふんだんに使って解説されていて、非常に濃い内容となっています。もちろん解説は全て英語となっていますが、英語は苦手という人も図解を見ているだけでも十分楽しめるのではないでしょうか。

HaynesのOwners’ Workshop Manualのシリーズとしてはかなり異色の存在であるこの本ですが、同じシリーズの”Spitfire“などは本当に整備マニュアルなのでしょうか。このあたりになるとイギリスには本当に自分で整備して乗っているような人がいそうなので、全く判断が付かないのですが…