誰にでも成功のチャンスはあるはず。
毎日当たり前のように自宅で目を覚まし、仕事に出掛けてはまた自宅に帰るということをしていますが、人間にとって自分の家を失うということは想像する以上に厳しいことなのでしょう。単に寝泊まりするところがないというだけではなく、固定した住所がないというだけで社会的なハンディキャップになってしまいます。報道などで「住所不定」と聞いたときに思い浮かべるイメージを考えればそれは納得してしまうはずです。一旦ホームレスになってしまうと、そこから定収入を得て這い上がるのは並々ならぬ苦労があるはずです。
そんなホームレスの自立を支援するため、販売員をホームレスの人々に限定している「ビッグイシュー」というストリートマガジンがありますが、その共同創設者の一人であり元編集長であるJohn Birdその人も少年時代から荒んだ暮らしを経験し、またかつて自身もホームレスを経験しているそうです。それまでの単に施しをするだけの支援者とは一線を画し、ホームレスからの脱却を支援することになったBird氏の、社会の底辺から社長として成功するまでに得た自らの教訓を綴った「ホームレスから社長になった男の逆転法則」という本を読んでみました。
「逆転法則」などという邦題が付けられていますが、そんな法則などという「この通りにすれば成功間違いなし」なんていうものがあるはずがありません。まあ実際にはそれと同じことなのかもしれませんが、この本に載っているのは非常に常識的かつ基本的な事柄ばかりです。とはいえその基本を守るというのが実は難しく、誰もが成功に導かれはしないというのもそのためでしょう。
この本の内容は10の章に分かれており、それぞれ一つずつの教訓が述べられています。それらの章のタイトルを列挙すると、
- つぶされるな! 3%で行け!
- 自分の人生、自分がリーダー
- プライドを捨てて、他人から学ぶ
- おのれをよく知り、強くなる
- わくわくできる目標を設定する
- やってきた好機をつかみとれ
- 失敗を恐れるな。失敗から学べ
- 被害者意識を捨てる
- けなし屋をノック・アウト
- 小難しい理屈はいらない
というようになっていますが、これを見るだけでも何を言いたいのかはおおよそ判るのではないでしょうか。どれもよく言われるようなことばかりですが、特に「3%ルール」というのは「大きな目標も3%ずつの細かいステップに分割すれば着実に近づき達成することができる」というもので、私も意識して取り入れていきたいと思いました。この他の助言も、実生活で心掛けていけば困難に直面しても打ち勝つことができそうなものばかりですので、ちょっとしたスランプに陥っているような人なども一度読んでみて、普段の自分を振り返ってみるといいかもしれません。
ということで「ビッグイシュー」にも俄然興味が湧いてきたのですが、残念ながら私の住んでいるような地方都市では販売されていないので、私は未だ見たことがありません。出張の折などに見つけたらぜひ読んでみたいと以前から思っていたのですが、出張自体が少ないということもあって未だ叶っていません。本書の訳者あとがきに書かれているのですが、定価300円の「ビッグイシュー」を購入するとそのうち160円が販売したホームレスの収入になるということです。単なる寄付とは違い、施しではなく労働の対価としての支援になるだけでなく、雑誌自体の内容も読む価値があるということなので、近いうちにぜひ購入したいと思います。