RED格好良くないのにカッコイイ。

今やすっかり頭の禿げ上がったおじさんとなってしまったBruce Willisですが、アクションスターとしての大出世作となった「ダイ・ハード」以来、スーパーヒーローではなくどこにでもいそうな等身大のヒーローをコメディタッチで演じては喝采を浴び続けています。2007年の「ダイ・ハード4.0」でもカッコいいダメおやじぶりを見せてくれましたが、今度はついに年金生活に入ってしまったという設定の「RED」という作品を観てみました。

RED/レッド ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
監督:ロベルト・シュヴェンケ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2011/05/18)
ISBN/ASIN:B004LKRQ7U

REDというのは”Retired, Extremely Dangerous”、つまり「引退した超危険人物」という意味の頭字語で、CIAを退職した主人公Frank Mosesに付けられたラベルです。もともとDC Comicsコミックが原作だそうですが、こんな元エージェントを主人公にしたような作品があるだなんて、アメコミもなかなか奥行きがあるものです。スパイダーマンバットマンばかりがアメコミではありませんね。

もちろんこの主人公Frankを演じているのがBruce Willisなわけですが、そのFrankとチームを組むことになる他の元エージェントを演じるのもMorgan FreemanJohn MalkovichHelen Mirrenと渋すぎる面々です。特にJohn Malkovich演じるMarvinの奇人ぶりが怖いぐらいハマっているのですが、Helen MirrenのVictoriaもなかなか強烈ですし、このキャスティングは実はかなり贅沢なのではないでしょうか。

冒頭は冴えないハゲオヤジにしか見えないFrankが、顔も見たことのない年金事務所の係の女性に恋をしているというどうにも地味な場面から始まるのですが、自宅を襲われるところからはもうJohn McClaneにしか見えなくなってしまいます。私がこの作品で最もカッコいいと思ったのは、追手に追突されてスピンするパトカーからドアを開けてそのまま道路に降り立ち銃を構える、というこの右上の写真までの序盤のわずか数秒のシーンですが、こんなシーンでもかなりの技術と資金がつぎ込まれているはずです。もちろん常識的にはありえない動きですが、それをサッとこなしているように見せている所がますますカッコいいところです。

ということで、アメコミ原作ということはあまり意識せずに楽しめる、なかなかいいアクション・コメディ作品なのではないかと思います。しかし、なんだかんだでたくさんの人の血が流れていくので子供に見せるのは気が引けてしまいますが、こういうのは何とかならないものなのでしょうか。