You've Got Mail電子メールの認知度向上に貢献?

今やビジネスにもプライベートにも、それこそ小中学生の間でもなくてはならないものとなっている電子メールですが、それこそ20年前には一般の人には全く知られず、メールといえば郵便のことでした。今では携帯電話を使うケースが多いかと思いますが、一般消費者が利用することができた初期の電子メールはパソコン通信のシステムにより提供されていて、そのサービス会社のユーザ間のみで使えるものでした。メールアドレスも今のようにユーザ名+サーバ名というようなものではなく、単に「ハンドルネーム」と呼ばれるユーザ名のみで指定されるものでした。感覚としては今のSNSのメッセージが近いでしょうか。

今日はそんなパソコン通信の時代のメールのやりとりを主題に据えたラブコメディ「ユー・ガット・メール」を観てみました。当時はかなり話題になった作品ですが、何となく見そびれていたものです。

ユー・ガット・メール [Blu-ray]
監督:ノーラ・エフロン
ワーナー・ホーム・ビデオ (2011/04/21)
ISBN/ASIN:B004PLO5LK

1998年公開ということで、製作時にはWWWもまだ一般的でなかったはずであるものの、変化の激しい時代だったので公開時にはまた状況も変わっていたかもしれませんが、この頃多くのユーザを集めていた「America On Line」(AOL)というサービスがあります。主人公の二人はこのAOLのユーザで、NY152とShopgirlというハンドルを使って匿名でメールをやり取りしていて、それぞれパートナーと同居していながら見知らぬ相手に互いに惹かれ合います。しかし、ShopgirlことMeg Ryan演じるKathleen Kellyは小さな児童書専門店のオーナー、一方Tom Hanks演じるNY152ことJoe Foxは大規模ディスカウント書店経営者一族、と実生活では対立する状況にあります。それを知らずに相手の姿を夢見ながらもいがみ合うという複雑な関係を続ける二人ですが…

この作品は1940年の「街角/桃色(ピンク)の店」という映画のリメイクだということですが、もちろんそんな70年以上も前に電子メールなんていうものがあるわけもないので、もともとは郵便の手紙で文通をしていたものを、現代に合わせて電子メールにしたというわけです。その電子メールも当時はまだ物珍しさがあったので話題になったというのは否めないでしょう。しかしそれを抜きにして純粋なラブコメディとして見ても、優れたストーリーを持っているのではないかと思います。

主演のTom Hanksは言っては悪いかもしれませんが、「見た目だけではない男」を演じさせたら右に出るものはいない、というか彼の存在自体がそれを表しているのではないでしょうか。まあ彼も若かりし頃は美男子だったわけですが、その頃からオデコは広かったようですね…まあ私も人のことは言えないわけですが。一方、Meg Ryanの方はショートヘアが素敵な非常に魅力的な女性です。彼女のブロンドも本物ではないようですが、そんなことはどうでもいいことですね。

ということで、何となく流行りものを使って話題作りをしただけの作品ではないということが分かりました。しかし、AOLがどんなものか何となくでも知っていないと「ナンダコレ」という感じかもしれません。そういう点では、やはり手紙に敵うものではないのか、と思いかけましたが、数十年後には郵便で手紙を送る人なんていなくなってしまうのかもしれませんね。ちなみに作中でも何度か聞こえる”You’ve Got Mail!”という音声は携帯電話のメール着信音にもなったりしていましたが、あえて今使ってみるというのはどうでしょうか。