The Hobbit: An Unexpected Journey懐かしいメンバーと再会。

今や「指輪物語」というよりも「ロード・オブ・ザ・リング」と言った方が通りがいいJ. R. R. TolkienのThe Lord of the RingsがPeter Jackson監督により映画化されたのはもう10年以上前のことですが、3部作で公開されたこのシリーズはSFX技術をふんだんに利用した緻密な映像と壮大なスケールで大きなヒットとなりました。原作はファンタジーの原点の一つと言われる作品ですから、ファンタジーファンの私ももちろん好きな映画シリーズの一つです。

その前日譚に当たるのが「ホビットの冒険」という作品なのですが、原作は岩波少年文庫から出ているように児童文学となっており、指輪物語に比べると文体が子供向けとなっていてボリュームもかなり小さなものになっているため、私はかなり物足りなく感じたというのが事実です。しかし、映画化に際してはストーリーはそのままで大人向けの作品として生まれ変わり、「ロード・オブ・ザ・リング」と連続性の高いものとなりました。この週末、その三部作のうち一作目「ホビット: 思いがけない冒険」として公開されたので、私も早速観てきました。

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この作品では技術的な新しい試みとしてHFR 3Dというものが取り入れられています。HFRというのはHigh Frame Rateの略、すなわち高速度撮影ということで通常の映画が秒間24コマ(24fps)の撮影・映写であるのに対し、この倍の48コマ(48fps)に上げることにより、映像の滑らかさを向上させる技術です。これはフィルムでも不可能ではないのでしょうがデジタル化によって実用的になったといえるもので、当然上映もデジタルになります。世界の数十箇所ではこのHFR 3DにさらにIMAX組み合わされて上映されているようでさらに素晴らしい映像を体験することができるようですが、残念ながらミシガン州にはありません。私が観に行った所では2D, 2D字幕付き, 3D, IMAX 3D, HFR 3Dと5種類ものバージョンで上映されていましたが、やはり新しもの好きの私はHFR 3Dを選択することにしました。
Gandalf
さてそのHFRの映像ですが、やはり滑らかさは今まで経験したことのないものです。それが顕著になるのは人や物がある程度のスピードで画面内で移動したりカメラがパンしたりするようなときですが、こういった場面で従来の映画ではカクカクとした動きになっていたものが全く気にならず実にスムーズでした。しかしこれでいて、すでに48fpsに対応できる性能がありさえすれば上映設備には新たな投資が必要にならないのか、料金は$8と通常の3Dと変わりませんでした。それほど大きなインパクトのあるものではありませんが、日本ではIMAX上映にもれなく付いてくるようなので、ぜひ体験いただきたいと思います。

作品自体は「ロード・オブ・ザ・リング」の世界がそのまま蘇っていて、懐かしさを感じてしまいました。登場人物のうち寿命の長い種族の人たち、つまり魔法使いGandalf, SarumanエルフElrond, Galadriel、そしてGollumらは本作にも登場しますが、同じキャストが演じているので違和感がなく、顔を見るだけで誰なのかが分かります。「ロード・オブ・ザ・リング」の主役、ホビットのFrodoも同じElijah Woodが演じていますが、彼が一番懐かしく思えました。ちなみにGaladrielは原作には登場しないのですが、映画化でのアレンジとして登場場面が追加されています。

ストーリーは原作が短いためか割愛されている部分が少なく、唐突に感じられる場面が少なくわかりやすいのではないかと思います。映像の方は「ロード・オブ・ザ・リング」同様に緻密なもので、特にEreborの内部は荘厳・重厚で圧巻でした。三部作に分割されてしまっているため旅はまだまだ続くというところで終わってしまうので、ちょうど一年後の第二部の公開が今から待ち遠しく感じます。それまではまた原作でも読みなおしておこうかと読み始めたところですが、読みながら映像が蘇ってきてなお楽しめるような気がします。その後は英語の勉強のため原書の方に…

Pocket Hobbit
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posted with amazlet at 12.12.17
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