Blade Runner 2049あの名作を継ぐもの。

最近、Harrison Fordらが来日してプロモーションしてテレビでもちょっと盛り上げていたようですが、映画「ブレードランナー2049」が先週末に公開されました。SF映画の金字塔「ブレードランナー」の実に35年ぶりの続編ということになりますが、前作の存在があまりに大きくなってしまっているので、続編を製作しているという話を聞いた時にもにわかに信じることができませんでした。あれだけの作品の続編となると製作陣も相当な意気込みであったろうと思いますが、Tomatometerも88%となかなかの評価となっているようです。私もとても楽しみに待っていたので早速観てきましたが、期待は裏切られることなく、前作ほどではないにしてもなかなかハードなSF作品に仕上がっていて楽しむことができました。

今回は前作で捜査官Deckardを演じていたHarrison Fordも同じ役で出演しているということですが、作品中でも30年経っている設定なので年を取ってしまっているのは問題ありません。これは「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」のときと同じことですが、なんだか過去の栄光を引きずっているような感じなのを本人がどう思っているのかが気になってしまいます。一方、主人公のKを演じているのは顔も似ている2人のRyanのうち、「ラ・ラ・ランド」の方のRyan Goslingです。

今作の舞台はタイトルにある通り2049年という設定で、前作は2019年となっていましたが、幸か不幸かあと2年ではあの映画のような未来はやって来そうにありません。今から30年後がどうなっているかが見当がつかないように、30年前にもわからなかったのでしょうが、果たして今後30年のうちにレプリカントのような人造生命体は生まれるでしょうか。ひょっとすると何かのブレークスルーによって一気に現実味を帯びたりするのかもしれませんが、どうやら私が生きているうちには実現しそうになく、ちょっとホッとしています。まあ、SF作品は基本的に平行世界だと思って夢想してみればよいので、現実性を考える必要はないのですけどね。ただあの空飛ぶ自動車、Spinnerがどのような原理で宙に浮くのかは非常に不思議です。

一方、ホログラムをどうやって何もない空間に投影しているのかはとても不思議なところですが、それを除けばホログラムの恋人、Joiの存在は近い将来には実現しそうです。このJoiの役はAna de Armasが演じているのですが、とても可愛らしく、これが現実のものとなったらダメになる人がたくさんいそうです。しかし彼女にしか心を開けないKはとても哀しく見えますし、そんなKを真剣に想うJoiの姿は非常に切ないものです。

ところで、前作はシンセサイザー音楽家Vangelisの音楽が非常に印象的で、あのサントラ盤は私のお気に入りの一枚となっています。本作ではこのVangelis版のイメージを引き継いでHans ZimmerBenjamin Wallfischが製作していますが、この作品の世界観は保っているのではないかと思います。ただ、Vangelisのような新しさはなく、少々無難なものになっているのは否めません。これはできることならVangelisにもう一度担当してほしかったところです。

Blade Runner 2049
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ちなみに、本作では随所に日本語、特にカタカナ表記が目立ちます。あまりに普通に使われていて、コンピューターの発声もあるのですが、日本以外ではこれに字幕が付くのでしょうか。日本語字幕版だからこのメッセージも日本語なのだろうかと思ってしまうくらい自然に使われているので、英語版で観て確認したいくらいですが、おそらく英語の字幕が付くのでしょう。Kは普通に理解している風に応えていましたが、観ている人には伝わらないでしょうからね。

なお、本作を観るにあたって、前作をあらかじめ観ていた方がより楽しめることは間違いないと思いますが、観ていないとわからないというようなことはありません。本作を観て面白いと思ったら、それから前作を観てみるというのでもいいのではないでしょうか。