いかにも日本らしい無駄。
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すでにコロナ明けムードの漂っているアメリカなどから遅れて、日本でも新型コロナワクチンの接種が徐々に進んでいるところですが、このワクチンの接種を受けるためには「接種券」なるものが必要で、自治体などによる接種会場の予約の際にも「接種券番号」というものが必要とされています。今はもう多くの人の手に届いていることと思いますが、自治体によって発送時期にずれがあったりして、ちょっと前までは早く予約したいのに番号が届かないので予約できないというような状況でした。

しかし、なぜこんな接種券番号などというものを新しく発行しなければならないのか、理由があるのは知っていますが、なぜそのようなことになってしまうのかが理解できません。アメリカなどではあえて国が管理することを避けていちいち番号を必要としたりしないようですし、管理するのであれば住民票が整備されている日本なのだから住所氏名で十分なのではないでしょうか。そもそも、ワクチンを何回も余計に摂取したとしても得するようなものではないのですから、クーポン制にする必要性もないような気がします。必要なのは痴呆症の方などが何度も摂取してしまうのを防ぐことくらいで、周囲の人間がなんとかすればいいのではないでしょうか。

また、せっかく作った「マイナンバー」というものがあるのに、それが使えないというのはどういうわけなのかと疑問に思うのは私だけでないでしょう。どうも自治体の事務が煩雑になると反対されたからということのようなのですが、それならなんのためのマイナンバーなのかとまったく理解できません。とはいえ、実は私はマイナンバーカードを作っていなかったので、この機会に作っておくことにしました。また、「マイナポイント事業」なるものの受付期間が4月末までだったということもあって、せっかくなのでそれまでに申し込んでおくか、ということでもありました。

カード交付の申込みはウェブサイトから行い、概ね1ヶ月後に市区町村から交付通知書が届くのを待つ、ということになっていますが、マイナポイントの申込期限間際で混み合っていたということもあり、実際に届いたのはちょうど2ヶ月ほど経った頃でした。それからその交付通知書と、以前届いているはずの通知カード、本人確認書類を持って各自治体の窓口へ行って交付を受けるということになります。郵送で受け取ることも可能ですが、それでも受付のためには窓口へ行く必要があり、代理人による受け取りは「真にやむを得ない場合に限る」ということなので、仕方なく平日の早く仕事の終わった日に受け取りに行ってきました。

窓口の方もかなり混み合っていて「トータル2時間位かかるかもしれない」と言われ、役所の人も大変だと思いましたが、実際には1時間ほどで済んで助かりました。聞いたよりも時間がかかると文句を言う人が現れるので、長めに言っているのでしょう。それも仕方のないことです。

ちなみに交付の際にはパスワードの登録を行います。「署名用電子証明書暗証番号」という英数字6文字以上16文字以下のものが1つと、「利用者証明用電子証明書暗証番号」「住民基本台帳用」「券面事項入力補助用暗証番号」という数字4桁のものが3つですが、この3つは同じ番号も設定できるとのことです。私は許される限りの強度、つまり署名用〜は16文字、数字4桁はすべて個別に設定しましたが、英数字というのが大文字のみだというのは中途半端な仕様ではないでしょうか。また、こんなパスワードなどは最初の申込時にウェブで入力させてしまえば申込書に手書きさせてそれを目視で入力するなんていう手間も無くせるのに、とも思ってしまいました。

ということで特に問題なくカードは交付されたのですが、そもそもこのカードがなんの役に立つのかと言っても、私にはこれがあるから便利ということはほとんど無いのではないかと思っています。「マイナンバーカード1枚でできること」として「マイナンバーの提示が必要な様々な場面で、マイナンバーを証明する書類として利用できます。」という極めて当たり前のことが書かれていてポカンとしてしまいますが、使うとすれば「コンビニなどで住民票、印鑑登録証明書などが取得できる」ということくらいでしょう。その他も利用する場面はあるかもしれませんが、カードがあって良かったというようなことはなかなか無さそうです。

さらにマイナポイント事業ですが、これがまたなんだか無駄の塊のようなものです。できの悪いスマホアプリでポイントの予約をして、何らかの決済サービスのチャージや利用の際にポイントが付与されるとかいう、1回限りの割に大げさなシステムになっていて、これが消費の拡大に結びつくとは到底思えません。付与されるポイントに対してシステム構築に金を掛けすぎに見えますし、その割に使い勝手の悪い煩雑なシステムで、いかにも今の日本を象徴しているように感じて悲しくなりました。