待ち遠しかった再会ですが。

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最初の「マトリックス」が公開されたのは1999年、今から20年以上前の20世紀末のことで、物語の内容も映像も当時としては画期的なものでした。象徴的なのはbullet-timeと呼ばれるスローモーション撮影でありながらカメラアングルは高速で移動する技術で、今ならCGでそれっぽいものは実現できてしまうところですが、それをスチルカメラをたくさん並べることで実現してしまったという革新的なものです。ちなみに日本ではなぜか”bullet”を「バレット」といいますが、最初に言い出したのは誰なのでしょうね。

それはさておきこのシリーズは2003年に「リローデッド」、「レボリューションズ」と立て続けに3作目までが出て完結したようになっていましたが、ここへ来て18年ぶりに4作目の「マトリックス レザレクションズ」が公開されました。物語としても「レボリューションズ」の20年後という設定になっていますが、Neoが帰ってくるということで私も非常に楽しみにしていました。

人物が名乗るとその人の過去の登場シーンが回想のように引用されていますが、説明はないので過去作を観ていないとさっぱりわからないのではないかと思います。また、予告にも登場するMorpheusはいかにもなのですぐに分かるでしょうが、登場人物は役が同じでも見た目が変わったという設定になっていて役者が変わっていたり、同じ役者でも老けメイクになっていたりするので、シリーズのファンでも注意深く観ていないとわかりにくいのではないでしょうか。

本作の主要キャストといえばもちろんNeo、Thomas Anderson役のKeanu ReevesとTrinity役のCarrie-Anne Mossですが、その他で目立っているのがMorpheus役のYhya Abdul-Mateen IIBugs役のJessica Henwickです。特に私が気になったのはJessicaは中国系シンガポール人の母を持つイギリス人俳優ということですが、私は今まで意識したことがなかったものの、様々な作品に出演している注目株と言えそうです。他にも以前から引き続き出演している人も、新しい人に変わった役もあるのですが、そのあたりはネタバレになりそうなのでやめておきます。

作中でもマトリックス三部作のことが語られていたりしてメタな会話が繰り広げられて、「ひょっとしてこれはドキュメンタリーなのか」などと混乱気味になってしまうのですが、アクションシーンは相変わらずの「マトリックス」で、ちょっと新しい演出もあったりして楽しめます。

しかし、本作は良くも悪くも同窓会的な作品なのではないかと思います。物語中でもそうですし、出演者どうしや観客を含めて20年ぶりの同窓会気分で楽しんでいるような感じがあるのではないでしょうか。だからこの作品は高く評価されることはないのかもしれませんが、観た人で悪い印象を持つ人はあまりいないのではないかも思えます。そもそも、20年前の「マトリックス」を観たおじさん・おばさんでなければあまり見ようとは思わないでしょうし、そういう人たちが楽しめればそれでいいのかもしれません。