朝日新聞社が「ファクトチェック編集部」なるものを発足させると6月13日の記事で報じました。朝日新聞は「ファクトチェックとは、公人の発言やネット上で広まった情報など、社会的影響が大きな言説・情報について、その内容が事実に基づいているかどうかを客観的に検証する活動です。」と定義しています。
私は最初すっかり勘違いしていて、「朝日新聞は情報の裏を取らずに報道していたのか!」と憤ってしまったのですが、実際はそういうことではありませんでした。このファクトチェック編集部は朝日新聞の記事を検証するものではなく、公人の発言やネット上の情報を検証して記事にするということだったのです。これがしっかりできるのであれば、社会的に有意義な活動と言えるのではないでしょうか。
しかし、世の中のありとあらゆる情報を検証するというのは不可能ですから、なんらかの基準を設けて検証対象を選別する必要があります。朝日新聞では「対象とする言説・情報は、影響する範囲の大きさや、影響の深刻さなどを考慮して選定します。」と言っていますが、このような判断を客観的に下すことは可能なのでしょうか。影響範囲の大きさを事前に判断することは極めて困難ですし、深刻さには主観的な判断が必要です。説得力のある客観的な選定基準を示すことは容易ではないでしょう。
一企業の活動なのでそこまで公平性や公益性を求めるのは厳しいかもしれませんが、いかに透明性を確保するかが重要なポイントになるのではないでしょうか。それができれば、価値のある活動であることは間違いないので、私も応援したいところです。また、「全ての記事は、朝日新聞デジタル版では全文を無料で読める形で公開します。」としているのも素晴らしいことではないかと思います。できればこのファクトチェック記事だけをまとめたRSS/ATOMフィードも提供してもらえると嬉しいですが、今時フィードリーダーなんて使っている人は稀なのでしょうね。