His Master's Voice映画館に映画を見に行く第一の理由はもちろん大スクリーンの迫力にありますが、それに勝るとも劣らない魅力は臨場感あふれる音響システムにもあります。何とかこの音を家庭でも再現できないかということでサラウンドシステムというものが存在し、DVDの普及とともに珍しいものではなくなってきています。しかし、私は自宅で堂々と大きな音を出して映画をゆっくり観るということがなかなかできず、DVDで映画を鑑賞するのは子供たちが寝静まる深夜、音を漏らさぬようヘッドフォンでということになってしまっています。こういう人は私だけではないので、世の中にはヘッドフォンでもサラウンドの臨場感を実現するサラウンドヘッドフォンというものがあるのですが、ヘッドフォン自体の質に対して何となく割高に感じる製品ばかりなので買えませんでした。

そんなときにengadget japaneseで「手持ちのヘッドホンで5.1chサラウンド」と紹介されたのがビクターSU-DH1というヘッドホンサラウンドアダプターです。まさに私が待ち望んでいた製品なのですぐにも飛びつきたいところだったのですが、記事が掲載された2/27の時点ではまだ発売されておらず、最近になってようやくAmazon.co.jpで見つけて買うことができました。

この製品はアナログと光デジタルの入力があり、Dolby Digital/Dolby ProLogic/DTSのサラウンド入力をデコードしてDolby Headphoneなどとして出力してくれるというものです。光デジタル入力が備えられているというのも私には非常に嬉しいところで、PCのアナログ出力ではノイズまみれだったものがデジタル出力になることで非常にクリアな音で楽しむことができるようになります。

さっそくこれを使って「サハラ」を観たのですが、なかなか臨場感のあるサウンドを楽しむことができました。前後方向の定位感はよくわかりませんでしたが、サラウンド機能を止めてみた場合とは明らかに違う、映画館で聴く音の感覚に近いものだったように思います。もっと派手にサラウンドを効かせたソースがあればはっきりするのかもしれません。まだDTSでは試していないのですが、DTSの方が効果的だったりするのでしょうか。

まあ、DACやヘッドフォンアンプとしての性能は大したものではないと思いますが、サラウンドも楽しめてこの価格であれば非常に満足できるものだと思います。ヘッドフォンでサラウンドなんてできるわけがない、などと言う人もいますが、人の耳は2つしかないのに前後方向も判別できるのですから、高度な信号処理技術があればヘッドフォンでも再現できるのではないでしょうか。まだまだ進化の余地はあるのでしょうが、今のところそれがDolby Headphoneということですね。Dolbyと言えば昔はカセットテープのNoise Reductionでしたが…