Spiderman 3毎月1日の「映画の日」は普段1800円もするようになってしまった映画が1000円で観られるということでただでさえ映画館が混み合う日となるわけですが、昨日5月1日は暦の上では平日ではあるもののゴールデンウィークまっただ中ということもあり、行きつけのシネコンのチケット売り場には一時長蛇の列ができていました。男性は出勤している人が多いのか母子連れが目立っていたようで、「名探偵コナン」や「クレヨンしんちゃん」といったアニメ作品を中心にチケット完売のアナウンスが流されていました。

そんな中、言わずと知れたアクション超大作シリーズの最新作「スパイダーマン3」が全世界に先立って日本では昨日から公開されたので、私はまたしても一人で観に行ってきました。Worldwide Release Datesによると国によって微妙な差が付けられているようですが、全米公開も今週末の5月4日となっており、ドイツや中国、韓国などは同じ1日の公開となってはいるものの一応時差の関係で微妙に日本が「世界最速」ということになっているようです。日本の場合はゴールデンウィークの前半に公開されるのと終盤に入ってからとでは興行収入に大きな差が付くでしょうし、できることならゴールデンウィーク初日の先週末にでも公開したかったところでしょう。それでも大人気シリーズの3作目ですし、各種メディアでもさんざん煽られていましたので、私が観た回は完売までは行かなかったようですが、一番大きなホールでの上映だったにも関わらずほとんどの座席が埋まっていて、これまでに私がこのスクリーンで観た中では最も盛況だったのではないかと思います。

これまでの2作ではそれぞれGreen GoblinDoctor Octopusという敵役が1人ずつ登場してきましたが、今作ではNew GoblinSandmanVenomと強敵が一挙に3人も登場します。一本の映画に次々と現れるので詰め込み過ぎという印象を受ける人が多いようですが、単発のエピソードとしてはちょっと薄いので、スピーディーな展開を演出する上でもこれで良かったのではないかと私は思います。

これまでは比較的単純明快な勧善懲悪のストーリーであったのに対し、今回は苦悩するヒーローの姿が主題に描かれているのが大きな違いになっています。これも詰め込み過ぎといわれる所以なのかと思いますが、あまり単純な、爽快なだけのアクション作品では飽きられてしまうということもあるでしょうし、これはこれで面白かったのではないでしょうか。身近な人間味溢れる人々に愛されるヒーロー像を描こうとした作品は他にもあると思いますが、ここまで普通っぽく弱そうなヒーローはかつてないような気がします。

メインキャストはこれまで通りPeter Parker = SpidermanのTobey Maguire、Harry Osborn = New GoblinのJames Franco、そしてMJことMary Jane Watson役のKirsten Dunstで、3作目ともなるとすっかり定着した感があります。Tobeyは全然強そうに見えないところが逆にピッタリというのがおかしなところです。Kirstenが「ブス系」と言われるのが私にはかなり不本意なのですが、芸歴の長い彼女の演技力はこの作品でも大いに活かされているのではないでしょうか。Jamesはカッコいいですね。もっと他のメジャーな作品に起用されてもいいような気がするので、今後の活躍が楽しみです。

まあ事前に観た人の評価も今一つのようでしたし、実際終演後に「何度か観ないとわからない」と話しながらホールをあとにする人もいたり、私も説明不足と感じるようなところも多々ありましたが、この作品はあくまでコミックが原作のアクション映画であってSFではないので、説明できるような理屈自体がしっかりと考えられているわけではないのではないでしょうか。あんまり難しく考えることなく単純に楽しめばいい、そんな娯楽映画だと思って観た私は面白かったと思います。