John Wickアメリカって怖〜い。

映画「スピード」や「マトリックス」で一世を風靡したので大人ならおそらく誰でも知っている俳優Keanu Reevesですが、それだけ有名になってもメジャースタジオ作品だけでなくインディペンデント作品にも出演していて素晴らしい、と思っていたら実はスタジオからのオファーが減っていて困っているのだそうです。最近の彼のメジャー作品といえば「47RONIN」でしたが、これは日本人にはどうも微妙なのは仕方がないとしてもやはり外国ではさらにぴんとこなかったのか、興行的にうまく行かなかったようです。その前はというと「地球が静止する日」になりますが、こちらは興行成績はまあまあだったものの批評家の評価は芳しくなかったようです。しかしこのどちらもKeanu一人の力ではどうしようもないところがあるでしょうから、これらで本人が評価されてしまうというのはかわいそうな気がします。

さて、上記のようなインタビューが行われたのは久しぶりの新作が公開されるから、ということですが、その新作である「ジョン・ウィック」のTomatometerは85%となかなかの評価です。先日の「イコライザー」に続いてレーティングがRなのが気になりましたが、評価の高さからしてただの粗暴な作品ではないのだろうと思い見てみることにしました。

あらすじとしては、ロシアンギャングに愛車69年式Mustangに目をつけられ、夜中に自宅を襲撃され、亡くなった妻の最後の贈り物である愛犬を殺されて愛車を奪われた男John Wickが、実は引退した凄腕の殺し屋で、ギャングに復讐を仕掛ける、ということになります。こうして書いてしまうと身も蓋もありませんが、裏社会の様子がありえない感じで描かれていてなかなか面白いです。
John Wick
Keanuが演じるのはもちろんこの妻を亡くしたばかりの元殺し屋Johnですが、その影のある役どころにはまさにはまり役ではないでしょうか。いかにBrad PittLeonardo DiCaprioが人気であるといえど、このような役柄はとても似合いそうにありません。1人公園のベンチで哀愁ある姿を晒していたKeanu以上の適任がいるでしょうか。

また、この作品ではKeanuはバッタバッタと敵を倒していくのですが、そのアクションはGun Fuと呼ばれるものだそうで、格闘技と拳銃の複合技としてはGun Kataを継ぐものといえるようです。あれだけの超至近距離で銃を放たれたら銃創はとんでもないことになっていそうですが、R指定とはいえその直接的な描写はありませんでした。

しかしそれにしてもいくら亡き妻の遺したものとはいえ、愛犬の復讐にあんなに沢山の人間の命を奪ってしまうというのは釈然としないものがあります。確かに何の罪もない動物の命を奪ったのは酷いことですが、相手はギャングとはいえ自分もかつて同じ世界にいたものなのに… まあ手を出してきたのは相手の方ですし、先制攻撃を食らってしまったので自分の身を守るためには仕方のないことなのでしょうが。なお隅々に格好いいシーンがいくつもあり、作品自体はとても楽しめました。