Memory Stick PRO-HGエンジニアのプライドが高いのか、マネジメントの判断力に問題があるのか理由はわかりませんが、次々と独自規格を作り出し、それに固執してde facto standardから取り残されて孤立してしまっても往生際悪く自社製品に使い続けるのがソニーの問題点の一つではないかと思いますが、数多く生み出される規格の中には優れた物もいくつかあり、業界標準として採用されることになった物もあるので一概に否定することはできません。ただ、ユーザの利便性を無視して作り手側の理屈を押しつけられているように感じられるのは何とかした方がいいと思うのですが、その代表格がメモリースティックではないでしょうか。

一旦ソニーの懐に飛び込んで身の回りの物をすべてソニー製で統一すれば便利極まりないのかもしれませんが、他社製品ではほとんど採用されていないので融通が利かず、SDカードなど他のメディアを十分に持っていたとしてもあるソニー製品のために別のカードを買わなければならないという問題があります。これはユーザにとって何のメリットも感じられないことです。

そして昨日、ソニーとフラッシュメモリのメーカーであるサンディスクから「メモリースティックPRO-HG」の開発が発表されました。インタフェースのバス幅を倍に、動作クロックを1.5倍にすることで、インタフェースの最高速度を3倍とした物だということです。最大容量は32GBで現行のPROと変わりがないようです。

現行のユーザにとって心配なのはPROとの互換性でしょうが、相互に問題なく利用できるということなので一安心です。初代メモリースティックの時は1GBまで発売する予定だったものが規格上の問題で128MBまでしか開発することができず、突然互換性のないPROが登場しましたが、この時私はかなり当惑し、それ以来メモリースティックは避けるようになってしまったものです。

私が所有するメモリースティック対応機器は、すでに退役したCLIEと、メモリースティックがなくても全く困らないAlpineのカーナビだけなので、実はこのニュースは直接的にはあまり関心がありません。しかし、そろそろメモリースティックも諦めたらいいのに…と思っていたところで今回の発表なので、一体いつまでやるつもりなのかと思ってしまうわけです。自社製品には全面的に展開してしまっているので、既存ユーザのことを考えると引くに引けないということなのかも知れませんが、完全に引き際を逃してしまったと言えるでしょう。今回のPRO-HGも性能的にはSDHCを上回るものとなっていますが、性能だけ優れていても…ということですね。

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