GM & Chrysler世界的な高級車ブランドであるMercedes Benzを擁するドイツのDaimlerと、アメリカBig3の一角Chryslerが突然合併を発表してDaimler Chryslerとなり世間をあっと言わせたのは1998年のことでした。この時は私もよもやこんな大規模な合併があるとは思いもよらず、なまじ自分の仕事にも関連があったので直接的にも影響を受けることがありました。しかし当初から難しいのではないかと思われていたヨーロッパとアメリカという文化の異なる、それぞれ大きな歴史ある企業同士の合併は思うようにシナジー効果を上げることもできず、悪い面での影響の方が目立ってしまったようなところがあります。

そんな中でChrysler部門はアメリカでのBig3の立場を日本のトヨタに奪われるなど業績の建て直しに苦労し続けており、そのリストラ策の一つとしてChrysler部門のGMへの売却を交渉しているという、またしても驚きのニュースが報じられました。一昔前、というより数年前までであれば独禁法の縛りでありえない話ではなかったかと思われますが、今やGMも不振が続きもはや単独では世界一のメーカーではいられなくなり、GMとChryslerとが手を組んでトヨタをはじめとする日本車・韓国車の攻勢に立ち向かわなくてはならないというような状況になっているのでしょう。

またBigのもう一社、Fordも深刻な不振に喘いでいるようですが、アメリカ政府もかつてのようなあからさまな保護貿易を行うこともできないのか、70年代以降のような貿易摩擦に発展するようなこともなさそうで、各社とも自力で復活を図るしかないようです。これもイラク戦争の影響によりガソリン価格が高止まりしていて、アメリカ市民が燃費のいいクルマを求めるようになった結果だと思うと自業自得にも近いものであり、頑張って開発してもらうしかないのかもしれません。

そもそもこれまでアメリカのクルマというのは極端にガソリンが安かったアメリカだけで売れていて、よその国ではほとんど売られていなかったというのが妙な話だったわけで、ようやく正常な状態に近づいてきたということなのではないでしょうか。日本の会社でもアメリカ向けに受けるようにわざわざ車体の大きなクルマを用意したりしていたわけですが、そんなことも必要なくなるとなればますます日本車の開発効率も上がってしまい、アメリカのメーカーの出る幕があるかどうか…まあ日本の会社もそんな状況にあぐらをかいていると中国などBRICs市場などでどうなるかわかりませんので、明日は我が身と気を引き締めて頑張りたいものです。まあ日本も国の規模の割に自動車メーカーが多すぎるので、もう少し整理された方がいいような気もしないでもないのですが…

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